多くの日本人英語学習者が苦手とすることの一つに、「リスニング」があります。英語は、日本語にない「音」を多く有していることから、日本人にとって英語を聞き取るのは容易なことではありません。
そんな中、英語のリスニングを上達させるには、伸び悩みの原因を正し、新しいかつ効果的な勉強法を取り入れる必要があります。今回は、英語のリスニングが伸び悩む原因・誤った勉強法と、効果的なリスニング勉強法を紹介します。
英語のリスニングが伸び悩む原因・間違った勉強法
まずは、英語のリスニングが伸び悩む原因と、間違った勉強法について解説します。自分に該当する部分があるかどうか、ぜひチェックしてみてください。
英語の「音」を聞き取れていない
リスニングが伸び悩む原因の1つ目は、そもそも英語の「音」を聞き取れていないことです。
リスニングに苦手意識を抱いている方の中には、「英語を聞き取れないのは、英単語・英文法の勉強不足だから」と思っている方が少なくないかもしれません。しかし、それ以前に英語の「音(=母音・子音)」を十分に認識できていない可能性があります。
英語には、日本語にはない母音・子音の音が多く存在します。実際に、英語には600個もの音(子音+母音のモーラ)があるのに対して、日本語にはたったの70個しかありません。例えば、英語を聞き取るためには、“bag(カバン)”と“bug(虫)”、“cars(車)”と“cards(カード)”など、英語にしかない音を区別して認識する必要があります。
また、日本語は韓国語や中国語などと比較しても、音の数が圧倒的に少ない言語であり、これは日本人の「リスニング」が弱いことと関係していると考えられます。つまり、日本人はデフォルトの状態で聞き取れる「音」の数が圧倒的に少ないため、英語を聞き取ることができないのです。
これまで英語の発音を勉強してこなかった方や、英語の音の聞き分けに不安がある方は、まず英語の「発音」を学習・練習する必要があります。
英文法と語彙の知識が不足している
リスニングが伸び悩む原因の2つ目は、英文法と語彙の知識が不足していることです。当然ながら、英語の「音」を正しく認識できても、知らない単語や文法が数多く登場する英語の音声を理解することはできません。
例えば、英文法の知識が不足していると、英語の音や単語・フレーズを聞き取れても文全体の意味を取ることはできません。また、知らない英文法が多すぎたり構文を理解するのに時間がかかったりしていると、短文だと聞き取れても長文になると理解が追いつかなくなってしまいます。
日常英会話を聞き取れるようになることを目的とするなら、中学・高校レベルの基礎的な英文法・英単語を徹底的にマスターすることが重要です。
英語の「聞き流し」しかしていない
3つ目の考えられる原因は、英語の「聞き流し」しかしていないことです。「聞き流し」は、人気のあるリスニング学習法の一つですが、まったく理解できない英語をとりわけ集中せずに聞き流したところで、リスニングが上達することはありません。
英語の「聞き流し」が効果を発揮するとすれば、集中せずに聞いても8〜9割の内容を理解できる英語力が身についている場合、または十分な英語力がある上で他の学習法と並行して取り組んだ場合です。そのため、英語を聞き取れない状態でひたすら「聞き流し」を行っても効果は得られません。
「聞き流しに取り組んでいるのに、一向に英語を聞き取れるようにならない」というのであれば、一旦「聞き流し」をやめ、より効果の高い初心者向けのリスニング学習に取り組むと良いでしょう。
英語のリスニング勉強法
ここまで、リスニングが伸び悩む原因と誤った勉強法についてお伝えしました。次に、原因別の効果的なリスニング勉強法を紹介します。
英語の「音」を聞き取れていない方向けの勉強法
まず、英語の「音」を聞き取れていないという方におすすめの勉強法を紹介します。
母音・子音を学ぶ
英語の音を聞き取れるようになるためには、英語特有の母音・子音の音を学ぶ必要があります。
前述したように、英語には日本語には存在しない音が多くあります。そのため、まずは日本語にない英語の母音・子音をそれぞれ異なる「音」として認識できるようなることを目指しましょう。
英語には、日本語の「ア」に近い母音一つとっても、/æ/、/ɑ/、/a/、/ʌ/という4つの音が存在します。例えば、“bad”、“night”、“cut”の母音は、日本語だとすべて「ア」で表現されますが、英語ではそれぞれ異なる音として認識しなければなりません。
これまで、英語の音をカタカナで覚えていた方や、母音・子音の発音を学んでこなかった方は、発音記号と音の出し方(ロジック)を学ぶところから始めましょう。それぞれの音を出すための口の使い方(口の開け方や舌の位置)などを学び、リスニングのベースを作り上げましょう。
発音練習に取り組む
母音や子音など、音素単位での発音の知識を身につけたら、次は「発音練習」に取り組みましょう。
身をもって「英語の音の出し方」を理解すると、これまで聞き取れなかった英語の音がどのように発音されているのかがわかるようになります。これにより、頭の中で英語の「音」と「単語」が紐付き、リスニング力が飛躍的に上達します。
英語特有の母音・子音の出し方を理解することは、一見自分の発音を改善するための練習のように思えるかもしれません。しかし、実際には正しく発音できるようになる一歩手前の段階で、先に「発音を聞き取る能力」が伸びます。日本語の音声を聞いているかのように英語をリスニングできるように、発音練習を通して「音」と「単語・イメージ」の紐付けを行いましょう。
また、プロンテストは定期的に発音セミナーを開催しています。発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
英文法と語彙の知識が不足している方向けの勉強法
続いて、英文法や語彙の知識が不足しているという方におすすめの勉強法を紹介しましょう。
基礎文法を学び直す
英文法の知識が不足している場合は、基礎的な英文法を徹底的に学び直すことが効果的です。まずは、現時点での自分の文法力を把握し、どのレベルから学び直す必要があるのかを見極めましょう。
英文法に苦手意識があるのであれば、これを機に中学校レベルから学び直すのもおすすめです。中学校レベルというと、一見簡単すぎるように聞こえるかもしれませんが、実際には日常会話レベルの英語をリスニングするには、中学レベルの英文法で十分だといえます。
ちなみに、英文法を学び直す際のポイントは、「日本語を介さず、スムーズに理解できるように英語のまま学ぶこと」です。日本語訳に頼って英文法を覚えてしまうと、実際にリスニングした際に日本語に変換してしまうクセが付いてしまうので気をつけましょう。
語彙を増やす
英語の語彙が不足している場合は、当然ながら語彙を増やす必要があります。英単語帳や英単語アプリなどを活用して、英単語を覚えていきましょう。ただし、受験勉強のように機械的に英単語を暗記したり、日本語訳と対で覚えたりするのではあまり高い効果は期待できません。
例えば、日本語訳を介して“plant”という英単語を覚えてしまうと、実際の音声の中で“plant”という英単語を耳にした際、「plant→植物→“植物”の視覚イメージ」という3段階を踏むことになってしまいます。これでは、単語を知っていても、文章としての意味を汲み取れなかったり、意味を理解するのに時間がかかってしまったりします。
英単語を覚える際は、英単語を英語のまま、単語の持つイメージと結びつけるように覚えると良いでしょう。ただ単に語彙を増やすよりも、イメージと結びつけて単語を覚える方が、リスニング力の向上に効果的です。
英語の「聞き流し」しかしていない方向けの勉強法
続いて、これまで「聞き流し」しかしていなかったという方に向けて、聞き流しの代わりにおすすめの勉強法を2つ紹介します。
ディクテーションをする
一つ目の勉強法は、ディクテーションです。ディクテーションとは、聞いた英語をそのまま文字に書き起こす勉強法のことです。
聞き流しと異なり、ディクテーションでは英語の音声を一語一句聞き逃さないように集中して聞く必要があります。そのため、英語の「音」をしっかりと聞き取り、意味を理解する力を鍛えるのに最適です。
ディクテーションをする際に使用する音声は、これまで聞き流しの際に使っていたもので問題ありません。ただし、自分の現時点での英語力で8割程度理解できるレベルの音声を選ぶようにしましょう。
英語を「精聴」する
二つ目の勉強法は、精聴です。精聴とは、英語の音声の意味をしっかりと理解しながら、一文一文丁寧にリスニングする学習のことです。聞き流しと異なり、わからない単語を調べたり、聞き取れない箇所を繰り返し聞いたりするといった作業が必要となります。
精聴は、「量」よりも「質」を重視する勉強法のため、触れられる英語の量が限られてしまいます。しかし、英語初心者の場合、多聴や聞き流しに取り組んでも意味を理解することが難しいため、「質」を重視した精聴の方が、効果が高いといえます。
英語の聞き取り能力と意味取り能力を強化するため、そして英語の語彙や文法の知識を増やすためにも、精聴に取り組むことをおすすめします。
英語のリスニング勉強におすすめのアプリ
続いて、英語のリスニング勉強に役立つおすすめの英語学習アプリを紹介しましょう。
英語の「音」を聞き取れていない方向け
まず、英語の「音」を聞き取れていない状態にある方におすすめのアプリを紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
「プロンテストシリーズ 発音特訓パック」は、当社プロンテスト提供のスピーキング練習アプリです。日常会話フレーズを使って会話練習を行いながら、「発音測定機能」で正しい発音の習得を目指します。
発音測定機能では、あなたの発音の正確さだけでなく、どこをどう直せば良いのか、具体的なアドバイスを提示します。
本アプリがあれば、独学でも英語の正しい「音」を学び、効率よくリスニング力を高めることができます。アプリは無料でお試しもできますので、少しでも気になった方は、以下の公式サイトからアプリの詳細を確認してみてください。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,200円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,320円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額880円(税込)
公式サイト
英文法と語彙の知識が不足している方向け
続いて、英文法と語彙の知識を強化したいという方におすすめのアプリを2つ紹介します。
LearnEnglish 英文法
「LearnEnglish 英文法」は、ブリティッシュ・カウンシルが提供する英文法学習アプリです。1,000以上の英文法練習問題・テストを収録しており、初級〜上級のあらゆる英文法の理解度を手軽にチェックできます。英文法の習得度を確認したい際や英文法の復習をしたい際におすすめのアプリです。
料金
- 無料(※アプリ内課金あり)
公式サイト
- LearnEnglish英文法(iOS)
- Learn nglish英文法(Android)
Duolingo
「Duolingo」は、ゲーム感覚で楽しく英単語や英文法、日常表現を学習・練習できるアプリです。世界で一番ダウンロードされている外国語学習アプリということもあり、学習コンテンツが充実している他、操作性にもたいへん優れています。
本アプリは、「スキマ時間を活用して手軽に語彙や文法を学びたい」「楽しく英語を学習したい」という方におすすめです。
料金
- 無料(※アプリ内課金あり)
公式サイト
英語の「聞き流し」しかしていない方向け
これまで英語の「聞き流し」しか取り組んでこなかった方は、以下のアプリを活用してディクテーションや精聴などに取り組みましょう。
LearnEnglish Podcasts
「LearnEnglish Podcasts」は、ブリティッシュ・カウンシルが提供するポッドキャストアプリです。本アプリでは、ブリティッシュ・カウンシルの人気ポッドキャストをすべて無料でリスニングすることができます。
すべてのポッドキャストには、音声と共に表示される文字起こしテキストが収録されており、ディクテーションや精聴学習に役立てることが可能です。また、ポッドキャストの最後には、音声に関する質問が出題されます。音声をどのくらい理解できたかをチェックすることができ、リスニング力の強化に最適です。
料金
- 無料
公式サイト
- LearnEnglish Podcasts(iOS)
- LearnEnglish Podcasts(Android)
BBC Learning English
「BBC Learning English」は、英国放送協会(BBC)が提供する英語学習者向けコンテンツを無料で視聴できるアプリです。『The English We Speak』や『6 Minute Grammar』、『English at Work』など、レベル・目的が異なるリスニングコンテンツを数多く取りそろえています。
本アプリがあれば、リスニング学習で使用する英語の音声コンテンツ探しにかかる時間を大幅に短縮することができます。ディクテーションや精聴などのリスニング学習で使用する英語の音声を探している方は、ぜひ本アプリを活用してみてはいかがでしょうか?
料金
- 無料
公式サイト
- BBC Learning English(iOS)
- BBC Learning English(Android)
英語のリスニングを効果的に勉強するポイント
ここまで、効果的なリスニング勉強法やおすすめアプリなどを紹介しました。これらを踏まえた上で、リスニングを効果的に勉強するためのポイントをお伝えしていきます。
まずは発音学習・練習で土台を作る
リスニング学習に取り組むにあたっては、必ず発音学習・練習で「土台」を作ることを最優先に取り組みましょう。というのも、前述のとおり、発音練習は英語学習における「基礎トレーニング」に該当する部分なので、できるだけ早い段階で取り組んでおくことに意味があるからです。
英語の発音学習・練習を通してべースを固めておくと、英語の音を正しく認識・聞き分けできるようになるので、リスニングが急激に伸びやすくなります。また、発音の基礎が身についているといないでは、その後の学習における学習効率に大きな差が出ます。よりラクかつ短期間でリスニングを伸ばすためにも、まずは発音学習・練習に取り組みましょう。
英語学習アプリを活用する
上の章でおすすめのアプリを紹介したことからもわかるように、英語のリスニング学習には英語学習アプリの活用がおすすめです。近年では、ブリティッシュ・カウンシルやBBCなどが提供する本流のアプリも多く出回っており、スマホ一つで手軽にネイティブの英語の音声を聞くことができます。
当社が提供する「プロンテストシリーズ 発音特訓パック」のように、発音測定機能が備わったアプリを活用すれば、通常一人で習得するのが難しい「発音」もしっかりと身につけることができます。
また、通勤時間やお昼休憩、寝る前のリラックスタイムなどのスキマ時間に手軽にリスニング学習ができることもアプリの魅力の一つです。自分の課題や学習目的に合わせて、自分に合った英語学習アプリを活用しましょう。
まとめ
英語のリスニングが伸び悩む原因と効果的なリスニング勉強法、おすすめ英語学習アプリを紹介しました。
リスニングを効果的に伸ばすには、「発音練習」を繰り返してリスニングの「土台」をしっかりと作ること、そして正しい勉強法に取り組むことがとても重要です。「リスニングがなかなか伸びない」と悩んでいる方は、一度立ち止まって原因を追及し、新たな勉強法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
当社プロンテストでは、英語のリスニングの上達に欠かせない「発音」を楽しく習得するためのアプリとサポートを提供しています。「リスニングを劇的に変化させる発音を学びたい」「プロンテストシリーズ 発音特訓パックを試してみたい」などとお考えの方は、ぜひ当社プロンテストにご相談ください。