小学校で英語が義務化された一番の理由は、グローバル化が進む国際社会の中で日本人の英語力を高めるためです。従来の「読み」「書き」だけでなく、自然な会話ができるまでに英語力を高めることを最終目的としていることがわかります。
コミュニケーションを取れる能力が必要であるとすれば、相手に伝わる英語力が求められます。
ただ、英語が義務化された理由は理解したとしても、先生側としては、円滑なコミュニケーション能力を習得させるために、小学生に対してどのような学習方法を採用すれば良いか悩んでしまいますよね。
小学校の英語教育は、まだ始まって間もありません。そのため、「英語が得意ではなく、きちんとした発音で教えられるか不安」「どのような教材を使用して良いかわからない」「英語教育で注意する点が知りたい」とお悩みの方も多いでしょう。
そこで今回は、そういったお悩みを解決するために、次の項目について詳しく解説します。
- 学習方法
- 教材の選び方
- 英語教育でのよくある悩み
- 英語教育の注意点
- おすすめの教材
小学生が英語を習得するために効果的な学習方法
小学校で英語を習得する際の目標は、小学校3・4年生においては英語に親しむこと、小学校5・6年生においては中学校英語との潤滑な接合ができる基本的な読み・書きができることです。具体的には、次の3点が小学校英語で目標とすべき習得内容です。
- 授業中によく使う約200フレーズを理解しコミュニケーションをとることができる
- 600~700語程度の単語の読み・書きができる
- 疑問詞や代名詞、動名詞、助動詞、動詞の過去形を使用した基本的な文法が理解できる
そのためには、英語4技能をバランス良く伸ばすこと、中学校での学習を見据えて長期的に継続することが効果的です。では、詳しく解説していきましょう。
発音練習を行う
これまでの日本の英語教育は「読む」「書く」の技能を重要視し、「話す」「聞く」技能を伸ばすことが十分ではありませんでした。文部科学省が目標としている「国際社会で通用する英語力」の獲得のためには、英語4技能をバランスよく伸ばすことが必須です。
英語4技能をバランスよく伸ばすためには、英語学習の順番に注意する必要があります。
結論からお伝えすると、最初に学習すべきは発音です。発音練習をすると「リスニング力」がつき、その結果として「スピーキング力」も身につくという仕組みだからです。
これまで、発音練習はスピーキングの練習の一部であるという考えもありました。しかし、発音練習はリスニングやスピーキングの基礎トレーニングだと考えてください。「発音することができる単語は聞くことができる」「聞くことができれば話すことができる」という順番だからです。
スピーキング力が身についていれば、「書く」練習をすることで「ライティング力」もアップします。文部科学省が求めている「英語力」を養うためには、小学生の段階で「英語4技能をバランスよく伸ばす」学習が必要です。そして、その基礎トレーニングとして発音練習を行う必要があるのです。
楽しみながら継続的に学習する
国際社会で英語を使い、コミュニケーションが自由に取れる英語力を習得するには、小学校から大学入試以降まで長期的に継続して英語学習をする必要があります。小学校の英語学習では、中学校との連携を見据えて、長期的に継続可能な学習方法を取り入れる必要があります。
しかし、小学生の段階で「英語が楽しくない」と感じてしまうと、それ以降の英語学習に悪影響が出てしまいます。
継続的に英語に触れるためには、「英語が楽しい」と思える環境作りが大切だといえます。特に、低学年では日常の中に英語を使用したゲームや、絵本などを取り入れることで英語を使う機会を増やすことが大切です。
小学生向け英語教材の選び方
小学生が英語を習得する際に効果的な方法は上述したとおりですが、先生としては使用する教材をどのような基準で選べば良いか迷ってしまいますよね。小学生向けの英語教材を選ぶ際には、次の項目を基準に選ぶと良いでしょう。
- 理解度・学習目的にあったもの
- 発音練習ができるもの
- クラス内のレベル格差に配慮したもの
- 児童が飽きずに楽しめるもの
理解度・学習目的にあったものを選ぶ
英語の勉強は、小学校から始め、大学入試まで長期的に継続するものです。せっかく小学校で英語を始めたにもかかわらず、英語が嫌いになり途中で投げ出してしまっては意味がありません。
英語が嫌いになる原因の一つに「学習教材が理解度に合っていなかった」「目的を明確にせずに学習を進めてしまった」ということが挙げられます。
英語教材には大きく分けて、初級、中級、上級にレベル分けすることができます。
- 初級:英語に興味を持ち楽しみながら学習するもの
- 中級:英単語、表現、文法をインプットするもの
- 上級:学んだ英語をアウトプットするもの
小学生向けの英語教材は、初級から中級レベルのものを選ぶようにしましょう。
また、それぞれのレベルにおいても、学習目的を明確に定めて教材を選ぶ必要があります。「とにかく発音を身につけさせたい」のであれば、問題集を解くのではなく発音に特化した教材を選び、「初めて触れる英語を好きになってもらいたい」のであれば、動画や絵本で楽しみながら学べる教材を選ぶことが大切です。
このように、理解度と目的を明確に定めて教材を選ぶことが重要です。
発音練習がついている教材を選ぶ
上述したように、発音練習は英語4技法をバランス良く伸ばすための基礎トレーニングです。「発音できない」単語は「聞き取ることができない」のが当然です。
日本語の音の数は約60音であるのに対して、英語は約600音近くあります。つまり、発音練習をしなかった場合、英語の約10%しか聞き取れないということです。
英語と日本語では、口の中の動かし方が異なります。そのため、発音練習が英語学習において重要であることは理解できたとしても、日本人の先生が正確な発音を教えるのはとても難しいものです。ネイティブのように発音できる先生はごく一部であるのは当然です。
そのため、どのように口を動かせば正しい発音になるのかわかりやすく解説し、児童の発音が間違っている原因を教えてくれる教材を選ぶことが重要です。
クラス内のレベル格差に配慮したもの
小学校の1クラスの人数は35人ほどです。35人もいると、児童の英語の理解度はさまざまです。
しかし、授業を理解度別に行うことはあまり現実的でないのが現状だといえるでしょう。そのため、英語の理解度が進んでいない児童も英語学習が進んでいる児童にも合った教材を選ぶ必要があります。
ここでは、クラス内のレベル差が顕著に現れる「リスニング」「リーディング」「プレゼンテーション」の場面においてどのように配慮すべきかについて解説します。
「リスニング」学習
理解できない単語を聞き流しても、児童のリスニング力は向上しません。
一方、発音練習はしてもし過ぎるということはありません。まずは、リスニングで使用する教材の中に出てくる単語の発音を練習させましょう。その際、クラス内のどの児童も理解できるように「語彙が限定されている」教材を使用することをおすすめします。
「リーディング」学習
高学年で求められるリーディング力とは、活字体で書かれた英語の意味を理解し、適切に発音できることです。教材は、幅広いレベルの英単語や英文をカバーしたものを利用しましょう。
プレゼンテーション
プレゼンテーションでは、英語を使い自己紹介や自宅での過ごし方を発表することを通して、児童が自分の考えを英語で伝える力をつけることを目標としています。
プレゼンテーションを苦手とする児童は、自己紹介や日常生活の内容を表現するための語彙が不足しているケースがよくあります。そのため、プレゼンテーションの際によく使用する語彙が集められた教材を使用することをおすすめします。
飽きずに楽しめるもの
小学校で英語を効果的に習得するには、長期的に継続して行う必要があることは上述したとおりです。継続するには、何よりも飽きずに楽しめることが重要です。
そのため、絵や図表を使ったりゲーム感覚で楽しんだりしながら学習できるという遊びの要素を取り入れた教材がおすすめです。
また、小学生は集中力が長時間続かないという特徴もあります。CDなどを使って絵本の読み聞かせをする場合には、一回につき15分程度の短いものであることが望ましいといえます。
小学生の英語教育におけるよくある質問
どのような基準で小学生向け英語教材を選べば良いか理解したとしても、「どのように活用すれば良いのか」「目標をどこに設定するか」についてお悩みの先生も多いでしょう。ここでは、教育現場でよくある質問に対する回答をお伝えしていきます。
小学校の英語教育のデメリットは?
小学生から英語を始めるデメリットは主に次の2点です。
- 教師の指導力に差が出やすい
- 日本語の習得に影響がでる可能性がある
教師の指導力に差が出やすい
現状の小学校の英語教育では、専科の教員を設けず担任が指導することになっています。そのため、英語の指導力を高めるための研修参加の時間確保が難しく、先生によって指導力に差が出ているのが現状です。
特に、発音は習得に時間がかかり、児童に正確な発音を指導するのは難しいことが多いです。その場合には、発音教材をうまく活用することで指導力の差を補いましょう。
日本語の習得に影響がでる可能性がある
日本の英語教育において、日本語の習得に影響が出る可能性はほとんどありません。しかし、英語を重要視するあまり、国語の勉強をおろそかにしてしまう可能性は否定できません。
他の科目も英語と同じくらい重要な科目であると認識し、バランス良く学習することが大切です。
小学校卒業時にどのくらい読み書きができるべき?
結論からお伝えすると、小学校卒業時点で、初めて見た英文を読める必要はありません。また、英文を書くことができる必要もありません。
身につけるべきは、英語の音を聞いて大まかに何が述べられているのかが理解できることです。
「聞く」ことは「読む」ことにつながります。児童が聞き、理解した内容が教科書ではどのような文字で表現されているかを見る経験が、小学校で目標とする「読む」ことといえるでしょう。
また、「書き」において身につけさせるべきは、アルファベットの大文字・小文字が活字体で書くことができる力です。授業でよく使用する表現を書き写す練習も必要です。
そして、英文を書き写させる際には、文頭を大文字にし、単語と単語間にはスペースを入れることを意識させることも忘れてはならないポイントです。
英語に読み仮名を振っても良い?
英語に読み仮名を振ることは「カタカナ英語」を助長するものです。したがって、先生が読み仮名を振ることはおすすめできません。
しかし、子供が発音の記憶を残したくて自発的に読み仮名を振っている場合は見守りましょう。自発的に読み仮名を振っていると、カタカナでは表現しきれない単語があるということに気がつくことがあるかもしれないからです。
その場合には、「よく気がついたね」と褒めてあげましょう。小学生の段階で、日本語と英語の発音の違いがわかるまでに学習が進んでいるという証拠です。
検定教科書等に入っていない単語が入っている教材を使用しても良い?
「検定教科書等に入っていない単語が入っている教材」に関して、絵本を例に考えてみましょう。小学生の英語教材としておすすめの絵本は、次の基準で選ぶことをおすすめします。
- リズミカルで楽しい
- 普段の会話文に使えそうな表現が多い
- ゲーム感覚で読むことができる
リズミカルで楽しい作品であれば、英語の意味がわからなくても英語のリズムや楽しさが伝わるはずです。
また、普段の会話で使える表現がたくさん入っている絵本であれば、少し難しい単語を覚えるきっかけとなるでしょう。普段の生活で使える英語であれば、検定教科書に入っていない単語であっても児童は自然と受け入れることができます。
ゲーム感覚で読める絵本とは、たとえば「car」という単語から車の絵を見つけるといった要素のある絵本です。難しい英文は児童と一緒に調べるなどのサポートをすれば、楽しみながら単語の意味や読みを練習することができます。
小学生の英語教育の注意点
小学生の英語教育で注意すべきことには、大きく次のようなものが挙げられます。
- 模範とすべき発音を適切に指示する
- 子供の自主性を尊重する
- テストに縛られない貴重な時期であることを理解する
- ALTとのチームワークを大切にする
小学生は、英語学習の初期段階にいます。英語学習をスタートする年齢が低ければ低いほど、英語をスポンジのように吸収し、よりネイティブに近づくことができるメリットがあります。
反対に、英語に対する苦手意識を植えつけてしまうと、苦手意識を引きずったまま進級することになってしまいます。また、「間違った発音」「カタカナ英語」を覚えてしまうと、ネイティブに近い発音を習得するのに非常に苦労することになりかねません。
模範とすべき発音を適切に指示する
小学校の英語教育は、専科の先生ではなく担任の先生による指導が行われています。ALTが在籍していたとしても、英語教育をメインに進めていく指導者は担任の先生です。
小学生の英語教育の要である発音練習を十分に行うためには、指導者の発音が模範となり得るレベルに達していることが必要不可欠です。しかし、担任の先生自身が英語学習のためだけにそこまで時間を取れないという現状もあります。
現状の教育現場において、専科ではない担任の先生が正確な発音を指導できないことは仕方のないことです。そのため、発音を教えるにあたっては、発音アプリを活用することによって、児童が模範とすべき発音を教えると良いでしょう。
子供の自主性を尊重する
小学校の英語教育は、大学入試以降も続く英語学習の第一歩です。
小学校の英語教育で大切にしなくてはならないのは、「英語が楽しい」「英語が好きだ」「英語で話してみたい」という感覚を児童に与えることです。そのため、児童の自主性を尊重することが大切です。英語学習の第一歩で苦手意識を持ってしまうと、克服するのに苦労するためです。
英語教育において欠かせない発音ですが、小学生の中には日本語以外の言語の発音を恥ずかしがる児童もいます。そういった児童のフォローを忘れてはなりません。自主的に「英語を発音したい」と思える環境になるまで待つことも大切です。
テストに縛られない貴重な時期であることを理解する
小学生での英語学習は、テストに縛られず「好き」「楽しい」を伸ばせる貴重な期間です。中学生以降の英語学習は、テストと切っても切れない関係になるからです。
指導者がテストに縛られない貴重な時期であることを十分理解し、「好き」「楽しい」の延長線上で英語の習得ができるように工夫することが大切です。
ALTとのチームワークを大切にする
日本人の先生と比べてALTが最も力を発揮してくれるのは、発音学習です。担任の先生がALTと円滑にコミュニケーションを取ることができ、発音を学習させるための授業を組み立てられることが理想的です。
しかし、ALTとのコミュニケーションが円滑に取れなかったり、日本語が話せるALTには日本語を使ってしまったりする場合もあります。このようにALTを十分に活用し切れない場合は、発音練習が可能な教材をうまく利用し、児童に発音学習を補うようにすると良いでしょう。
小学校英語に準拠したアプリ「プロンテストシリーズ」を活用ください
小学校の英語教育において、発音練習は英語4技能の基礎トレーニングであることは何度もお伝えしたとおりです。しかし、先生自身が発音を教えられない場合や、児童の発音が正しいか判断できない場合も少なくありません。
そのような悩みを解決する方法として、発音練習の教材として小学校英語に準拠した「プロンテストシリーズ」のアプリの活用が効果的です。
教科書の特徴
- ピクチャーカードが豊富で英語に慣れない児童も楽しめる
- ストーリー性が高いので、ハイレベルな児童にも対応している
- 自然な会話文が多く使用されている
- 教科書の中では文字が少なめで見やすく楽しい作りになっている
文章ばかりの教科書だと、英語に慣れないうちは見るだけで拒否反応が出てしまうものです。しかし、プロンテストシリーズは表面が挿絵になっており、裏面が挿絵にあった英文が書かれているピクチャーカードで楽しみながら英語を学習することができます。
また、ストーリー性の高い内容になっており、英語学習が進んでいる児童は、教科書の内容から派生した学習ができるようになっています。
たとえば、「落とし物」について英語で表現する章があります。落とし物を警察に届けるまでのストーリーの中で、「道を尋ねるにはどのような表現を使うのか」「警察とは英語で何というのか」といったことについても学ぶことができるのです。
アプリでできること
- 会話をアプリで何度も聞くことができる
- 自然な会話をもとに何度も練習することで、スピーキング力が養われる
- 教科書に載っていない構文の練習もすることができる
- どのように発音すればよいか指導してもらえる
プロンテストシリーズは一つひとつの文章が短いため、何度も聞くことで無理なく会話を覚えることができます。身近な題材をもとにして作られており、実際の会話で使える英語力を養えます。
また、アプリでは押さえておきたい構文を習得することができます。何度も繰り返し聞くことによって自然と流行の音楽を覚えるのと同じように、自然と構文が定着します。
そして、英語の音一つひとつに関する口の中の動きを図解しているため、発音を学習することができます。発音の改善方法まで提案してくれるので、どのようにしたら正確な発音ができるか理解できるようになっています。
おすすめしたい方
- 細かい発音の指導ができない方
- 声に出すことを促したい方
- 文法を定着させたい方
細かい発音の指導ができなくても、児童が自らアプリを使って発音練習してくれれば、正確な発音を身につけさせることができます。また、アプリを使用することで、児童一人ひとりのウィークポイントを把握することもできます。
児童の中には、大勢の前で発音することを嫌がる子もいるでしょう。しかし、アプリを使用すれば端末に発音を認識させるだけで良いため、恥ずかしさが軽減されます。
また、アプリが発音の評価を行うため、評価を上げることを目的としたゲーム感覚でチャレンジさせると良いでしょう。
導入方法
PC、タブレット、携帯端末と、インターネット環境さえあれば導入可能です。学校のPCにインストールする必要もなく、ログインさえすればどこからでも学習することができます。
ご利用料金
- 自治体・学校法人様:年間980円~/人
- 個人向け:月額2,500円~
無料でお見積りいたしますので、当社プロンテストまでお気軽にご相談ください。無料体験も実施しております。
まとめ
小学校での英語教育は、英語教育のはじめの一歩として「楽しさ」を大切にして進めていくことが重要です。そして、英語4技能をバランスよく習得するためには、基礎トレーニングとしての「発音」が重要です。
「発音できることばは聞き取れる」「聞き取れるから話せる」のステップを楽しんで習得させるために、小学校英語に準拠したアプリ「プロンテストシリーズ」は大きな力を発揮することができます。少しでも気になった方は、当社プロンテストまでお気軽にお問い合わせください。