リスニングは、英語学習において重要なスキルの一つです。しかし、実際には「英語が聞き取れない」と頭を抱えている英語学習者は少なくないでしょう。
英語を聞き取れるようになるには、ご自身が英語を聞き取れない理由を深掘りし、それに合わせた対策を取ることが効果的です。そこで今回は、英語を聞き取れない理由と理由別の対策、おすすめ英語学習アプリを紹介します。
あなたが英語を聞き取れない理由は?
まず、なぜ英語を聞き取れないのか、その理由について考えてみましょう。
ここでは、英語を聞き取れない主な理由を4つ紹介します。英語を聞き取れない理由は1つとは限らず、2〜3の理由が重複していることもあります。自分がどれに該当するのか考えながら読み進めてみてください。
英語の音・発音のルールを知らないから
英文を読んで理解できる語彙力が身についているのにもかかわらず、英語が聞き取れないのは、英語の音・発音のルールに関する知識が不足しているからです。
日本語と比較して、英語は文字と発音のギャップが大きいため、単語やスペルを知っていても聞き取れないことは少なくありません。また、英語には日本語にはない母音や子音が数多くあり、これらの音を聞き分けるためには英語の発音記号を学ぶ必要があります。
英単語・フレーズの知識が不足しているから
音声のスクリプトを読んでも理解できない場合、英語を聞き取れないのは、英単語やフレーズの知識が不足しているからだと考えられます。
当然のことながら、知らない英単語・フレーズは読んだり聞いたりしたところで、理解することはできません。十分な語彙力が身についていないと、文脈や知っている英単語から単語の意味を推測することも容易ではありません。
一般的に、英語を聞き取るためには、音声に登場する英単語の8割以上を知っている必要があると言われています。
英語の文法・構文を理解していないから
英語を聞き取れない3つ目の理由は、英語の文法や構文、語順を理解していないからです。日本語と英語とでは語順が大きく異なるため、英語の基礎文法や文章の組み立て方のルールを知らないと、英文を聞き取ることはできません。
複雑な文法事項まですべて把握する必要はないものの、中学から高校で学習する基礎文法や英語の文章が組み立てられる際のルールを身に着ければ、英文が聞き取れるようになります。
英語のスピードに慣れていないから
英語学習者向けにゆっくり話された英語なら聞き取れるのに、海外ドラマやネイティブとの会話などになると聞き取れないという場合は、英語のナチュラルスピードに慣れていないことが原因です。
英語のスピードに慣れるには、文字通りナチュラルスピードの英語に耳を慣らすことはもちろん、ナチュラルスピードで話されたときに起こる「音声変化」を理解する必要もあります。
英単語・フレーズを音で覚えていないから
英単語やフレーズを「文字」で覚えているだけでは、耳から聞き取れるようにはなりません。例えば、“hierarchy”という英単語は英語で、/hάɪ(ə)rὰɚki/と発音されます。しかし、日本語発音の「ヒエラルキー」という文字で覚えてしまっていると、単語を知っていても実際に聞き取ることはできません。
英語を聞き取れるようになるには、英単語・フレーズを「意味」→「音」→「文字」という順番で覚える必要があります。「音」で覚えることを意識することによって、耳で聞いたときに「音」と「単語の意味」を瞬時に紐付けられるようになるので、英語の聞き取りやすさがアップします。
原因別!英語を聞き取れない方向けの対策
続いて、英語を聞き取れない方向けの対策を、原因別に詳しく解説していきます。
英語の音・発音のルールを知らない方向け対策
英語の音や発音のルールを知らない方は、英語特有の音や音声変化などの法則を学習する必要があります。知らない単語を聞き取ることができないように、知らない音を聞き取ることはできません。
英語特有の「音」を理解する
英語には日本語には存在しない母音・子音が多くあるため、それらの発音を学ぶ必要があります。
例えば、日本語で母音は「あ」「い」「う」「え」「お」の5つですが、英語には全部で17個もの母音が存在します。また、“L”や“R”、“V”など日本語にはない子音も多く存在しています。
そのため、日本語では「ライス」と一通りの発音しかないところ、英語では“rice(米)”と“lice(シラミ)”の2通りの発音があり、それぞれ意味が大きく異なります。英語の音を明確に表すための発音記号やフォニックス表などを用いて、英語特有の音を学習しましょう。
英語の音声変化のルールを学ぶ
次におすすめなのが、英語の音声変化のルールを学ぶことです。
英語はナチュラルスピードで話されると、2つの音がつながって発音されたり、2つの音が重なって別の音に変わったりすることがあります。そのため、母音・子音に加えて、どのようなときに音声変化が起こるのかを把握しておくことが大切です。
例えば、/t//p//k//d//b//g/のいずれかの破裂音で単語が終わる場合、音声変化の一種「脱落(リダクション)」が起こります。“good job”の“d”がはっきりと発音されず、「グッジョブ」のように聞こえるのは、音声変化が起こっているからですね。
このように、音声変化の種類や音声変化が起こる条件を把握しておくことで、ナチュラルスピードの英語が聞き取りやすくなります。
また、プロンテストは定期的に発音セミナーを開催していますので、発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
ネイティブの音声を聞いて音読する
ネイティブの音声を聞いた後、実際に英文を声に出して読む練習方法です。リスニングと音読は、一見関係ないように思えるかもしれません。しかし、正しく発音できる音はご自身が正しく聞き取れる音であることから、リスニング力の強化に有効です。
お手本にしたいネイティブスピーカーの音声を「音」に注目して静聴した後、真似するように音読しましょう。
ただし、ここでは正しい音をしっかりと聞いて真似することが重要なので、お手本の音声にかぶせるように発声するシャドーイングはおすすめできません。
英単語・フレーズの知識が不足している方向け対策
英単語・フレーズの知識が不足している方は、まず理解できる英単語・フレーズを増やす必要があります。語彙力は英語を聞き取るために欠かせないスキルの一つですので、リスニングの「土台作り」として取り組みましょう。
英単語・フレーズをインプットする
英単語帳や英語フレーズアプリを活用して、語彙力を強化しましょう。
英語の音声を聞き取るためには、2,000語程度の英単語の知識が必要だと言われています。2,000語と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、中学・高校で習う英単語を覚えれば、これだけですでに3,000語を超えることができます。
知らない英単語をすべて覚えようとする必要はありません。中学から高校レベルの重要英単語・フレーズを網羅した単語帳やアプリを手に取って、語彙を増やしましょう。
ディクテーションをする
続いて紹介する対策は、ディクテーションです。ディクテーションとは、音声を聞いて書き取るという練習のことです。
ディクテーションは、一語一句聞き取るための集中力・リスニング力が鍛えられる他、実際に英単語やフレーズを書き取ることで、語彙力アップにも効果的です。
また、実際に英文の中で使われている状態で単語を覚えられるため、機械的に暗記をするのと比較して知識に定着しやすいというメリットがあります。語彙力を効果的に強化したいのであれば、単語のインプットと併せてディクテーションに取り組むと良いでしょう。
英語の文法・構文を理解していない方向け対策
英語の文法や構文を理解していない方は、中学レベルから英文法を学び直すと英語を聞き取りやすくなります。
中学英文法を学び直すおすすめの方法としては、大人向けに中学英文法が解説された参考書に取り組む方法です。文法に苦手意識を抱いている方こそ、中学レベルの基礎を固めることが効果的です。
ここでのポイントは、ただ文法事項や用語をただ丸暗記するのではなく、実際に理解することです。実際に使ったり聞いたりして理解したりできるようにすることを目標に取り組みましょう。
英語のスピードに慣れていない方向け対策
英語のスピードが速いと聞き取れないという方は、英語のナチュラルスピードに慣れるための練習が必要です。
速読をする
英語のスピードに慣れていない方には、英文の速読がおすすめです。速読とは、その名の通りできるだけ速く英文を読む学習のことで、英語を理解するスピードを上げるのに効果的です。
英語が速すぎて聞き取れないのは、そもそも英語を英語のまま理解する力が足りていないことが原因です。英語の文章を日本語に置き換えずスムーズに理解できるように、洋書や英字新聞、速読用の教材などを活用して英語脳を鍛えましょう。
ポッドキャスト番組で多聴をする
英語のナチュラルスピードに耳を慣らすには、英語のポッドキャスト番組を活用した「多聴」がおすすめです。ポッドキャストとは、アプリやインターネット上で無料配信されている音声・動画のことです。
ここでのポイントは、ネイティブスピーカー向けに制作されているポッドキャスト番組を聞くことです。
ポッドキャストには、英語学習者向けに制作・配信されている番組が数多く存在しますが、これらの番組では英語がゆっくり話されているものが多くを占めています。そのため、英語学習者向け番組は、ナチュラルスピードに慣れることを目的とした多聴には不向きです。
お気に入りのネイティブ向けポッドキャスト番組を見つけて、多聴に取り組みましょう。
英語が聞き取れない人におすすめのアプリ
ここまで、英語を聞き取れない理由と対策を紹介しました。続いて、英語を聞き取れるようになるための英語学習に役立つおすすめのアプリを紹介します。
英語の音・発音のルールを知らない方向け
まず、英語の音・発音のルールをゼロから学習したい方におすすめのアプリを2つ紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
「プロンテストシリーズ 発音特訓パック」は、当社株式会社プロンテストが提供している、英会話フレーズで会話練習をしながら正しい発音を身につけられるスピーキング練習アプリです。
発音練習では短い簡単な文章を用いるため、初心者でも無理なく取り組めます。また、発音測定機能による評価と発音の修正方法がわかりやすく提示されるため、現時点でどのくらい正確に発音できているのか、どこをどう改善すべきなのかがよくわかります。
英語の発音を効率よく身につけたい方や、発音の正しい学習方法がわからないという方におすすめです。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,200円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,320円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額880円(税込)
公式サイト
3ヶ月プランと6ヶ月プランは長期割引が適用され、お得に利用できます。無料でお試しもできますので、少しでも気になった方はぜひお気軽に当社プロンテストまでお問い合わせください。
English Pronouncing Dictionary
「English Pronouncing Dictionary」は、ケンブリッジ大学出版が提供している英語アプリです。本アプリには、230,000語以上の音声が収録されており、辞書を引く感覚で英語の正しい発音を手軽にチェックできます。
本アプリの最大の特徴は、イギリス英語とアメリカ英語の音声と発音記号が両方収録されているところです。このアプリを活用すれば、あらゆる英単語の正しい発音を学べることはもちろんのこと、アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いも学習できます。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
- English Pronouncing Dictionary(iOS)
- English Pronouncing Dictionary(Android)
英単語・フレーズの知識が不足している方向け
続いて、英単語・フレーズの知識が不足している方向けのおすすめのアプリを2つ紹介します。
Duolingo
Duolingo(デュオリンゴ)は、世界中で一番利用されている外国語学習アプリです。ゲーム感覚で楽しく、英単語やフレーズ、発音などを学習できます。
本アプリは、中学から高校レベルの基礎的な内容を扱っているため、英語初心者の単語学習に最適です。4択クイズや穴埋め問題など、ゲーム感覚で楽しく取り組めるので、単語帳で機械的に単語を暗記するのが苦手という方におすすめのアプリです。スキマ時間にサクッと取り組める手軽さも魅力となっています。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
TOEIC presents English Upgrader
「TOEIC presents English Upgrader」は、TOEICプログラムを運営するIIBC(The Institute for International Business Communication)」によって提供されている英語学習アプリです。ポッドキャスト番組を活用して、英単語やフレーズを学習することができます。
各エピソードで登場した単語やフレーズを個別で再生することはもちろん、それぞれ意味や例文が掲載されているため、語彙力の強化に最適です。TOEICテストの出題内容と関係があるわけではないので、日々の英語学習で利用できます。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
- TOEIC presents English Upgrader(iOS)
- English Upgrader(Android)
英語の文法・構文を理解していない方向け
次に、英語の文法・構文を理解していない方におすすめのアプリを2つ紹介します。
English Grammar in Use
「English Grammar in Use」は、ケンブリッジ大学出版の世界的ベストセラー英文法参考書のコンテンツを収録した公式アプリです。
本アプリには、現在形や過去形など計6つの文法ユニットが収録されており、アプリで文法の解説を読んだりエクササイズに取り組んだりすることが可能です。例文を音声で再生することができるため、文法を学習すると同時にリスニング力を鍛えることもできます。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
- English Grammar in Use: Sample(iOS)
- English Grammar in Use(Android)
Johnny Grammar Word Challenge
「Johnny Grammar Word Challenge」は、ブリティッシュ・カウンシルが提供する英文法学習アプリです。「やさしい」「普通」「難しい」の3つの難易度からレベルを選んで、クイズに挑戦できます。
自分一人で学習することはもちろん、オンラインで他の学習者と競い合うことも可能です。クイズ終了後には、スコアとともにフィードバックが表示されるため、効率よく文法力を鍛えられます。
料金
- 無料
公式サイト
英語のスピードに慣れていない方向け
続いて、英語のスピードに慣れていないという方におすすめのアプリを2つ紹介します。
TED
「TED」は、世界中のあらゆるTED トーク(プレゼンテーション)を視聴できるアプリです。3,000以上のトークが収録されており、テクノロジーから科学までジャンルは多岐に及んでいます。
アプリでは、日本語と英語の二重字幕でトークを視聴したり、ダウンロードしてオフラインで再生したりすることが可能です。TED トークはネイティブスピーカー向けに提供されているものなので、ナチュラルスピードに慣れるための多読コンテンツとして最適です。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
LearnEnglish Videos
「LearnEnglish Videos」は、ブリティッシュ・カウンシル提供のリスニング練習アプリです。ブリティッシュ・カウンシルの英語学習動画を無料で視聴することができます。
オーディオスクリプトを活用すれば、聞き取れなかった部分を確認したり、ディクテーションに取り組んだりすることも可能です。また、本アプリでは毎週新しい動画が追加されるため、リスニング用コンテンツが不足する心配もありません。
料金
- 無料(アプリ内課金あり)
公式サイト
- LearnEnglish Videos(iOS)
まとめ
今回は、英語を聞き取れない理由と対策、おすすめアプリを紹介しました。英語が聞き取れない理由は人によってさまざまなので、なぜ聞き取れないのかを明確にして、対策を取ることが重要です。
中でも、発音はリスニングの土台となる重要な部分ですので、不安が残る方はできるだけ早い段階で学習しておきましょう。
当社プロンテストでは、リスニング・スピーキングの土台となる「発音」を楽しく習得するためのサポートを提供しています。「正しい発音を身につけたい」という方はぜひ当社プロンテストまでお問い合わせください。