英語の発音学習において、「フォニックスって勉強した方が良いの?」「どうやって勉強するの?」などと悩みますよね。フォニックスは、英語の発音を習得する上で大切な学習法の一つですが、日本ではあまり馴染みがないため、「そもそもフォニックスが何かよくわかっていない」という方も少なくないでしょう。
そこで今回は、英語の発音学習におけるフォニックスについて詳しく解説し、フォニックスで英語の発音を学ぶ正しい手順・方法やおすすめアプリなどを紹介します。
フォニックスとは?
そもそもフォニックスとは、音とスペルを紐づける学習方法のことです。わかりやすくいえば、英語のアルファベットと音の間にある規則・ルールを覚え、発音記号と単語のパターンの組み合わせを学習するというものです。
たとえば、“fairly”という英単語は、フォニックスのルールを知らず、発音記号の知識だけで読もうとすれば正しく発音することはできません。正しく発音するには、“air”というスペルと「エアー」という発音の組み合わせのルール(フォニックス)の知識が必要なのです。
ちなみに、“Phonics(フォニックス)”はCambridge Dictionaryでは次のように定義されています。
“a method of teaching people to read, based on learning the sounds that letters represent.”
元々は、英語圏の子どもが英単語のスペルを正しく綴れるように、そして初めて見る英単語の発音を推測し、正しく読めるようになるために用いられている学習法です。フォニックスは、英語におけるリーディングとライティングの基礎に該当することから、英語を外国語として学ぶ大人も学ぶべきであるとされています。
フォニックスと発音記号の違い
英語の発音には、フォニックスとは別に「発音記号」というルールが存在します。どちらも発音に関するルールであることから混合されやすいのですが、フォニックスと発音記号はまったくの別物です。
発音記号とは、英語の発音を体系的に表記するための記号のことです。「音声記号」とも呼ばれ、辞書や単語帳には必ず // や [] という記号と共に示されています。発音記号の知識を身につけておくことで、知らない英単語でも記号を見るだけで正しい発音を理解することができます。
一方、フォニックスは上でお伝えしたとおり、英語の「音」と「スペル」を紐づける学習方法のことです。つまり、大人がフォニックスを学習する場合、発音記号の音の作り方を知っていることが前提となります。発音記号の発音を覚えた上で、フォニックスを学習することで、効果的に発音記号と単語の組み合わせパターンを覚えることができます。
また、フォニックスは「たくさんの例外が存在する」という点においても発音記号と異なります。フォニックスを学ぶことで、音とスペルの組み合わせパターンがわかるので、知らない英単語のスペルを正しく綴ったり、正しく発音したりできるようになりますが、中にはルールが適用されない例外が存在するため注意が必要です。これには、英語が不規則な言語であることや外来語が多く使われていることなどが関係しています。
フォニックスを学ぶメリット
フォニックスとは何かがわかったところで、次にフォニックスを学ぶメリットについてお伝えしていきます。「フォニックスを学んだ方が良いの?」と悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
発音記号と単語の組み合わせパターンを覚えられる
フォニックスを学ぶメリットの一つ目は、発音記号と単語の組み合わせパターンを覚えられることです。わかりやすくいうと、「スペルから発音がわかる」「音からスペルがわかる」ようになります。
フォニックスのルールが頭に入っていると、専門性の高い単語など発音の仕方がわからない単語でも、スペルから発音を推測できるようになります。そのため、音読をしていて知らない単語に出くわしたり、ビジネスシーンで発音がわからない専門用語が出てきたりしても対応できる高い発音能力が身につきます。
また、英語のスピーチやプレゼンでメモを取る際、聞いた音から正しいスペルを想像できるようになるというメリットもあります。
英単語が聞き取りやすくなる
フォニックスを学ぶと正しい発音が身につくため、英単語が聞き取りやすくなります。これは、フォニックスのルールを学ぶことで、正しく発音できる「音」が増えるため、自然と聞き取れる「音」も増えるという仕組みです。「発音できる音=聞き取れる音」「発音できない音=聞き取れない音」だからですね。
このことから、フォニックスを学ぶことは発音を上達させたい方だけでなく、リスニング力を伸ばしたい方にもおすすめの学習法です。
カタカナ英語から脱却できる
フォニックスを学ぶメリットの二つ目は、カタカナ英語から脱却できることです。
日本人英語学習者の中には、英単語をカタカナの音で覚えているという方が少なくありません。その結果、カタカナ英語という悪い発音のクセが定着してしまいます。
しかし、英語は日本語よりも音の数が遙かに多いため、カタカナ英語では英語を正しく発音することはできません。そこで、フォニックスを学ぶことで、英語の正しい発音をスペルと紐づけながら覚えることができます。フォニックスは、「発音を矯正したい」「カタカナ英語から脱却したい」という方に大いに役立つ学習法です。
フォニックスで英語の発音を学ぶ正しい手順
続いて、フォニックスを用いて英語の発音を学ぶ正しい手順・方法を紹介します。
手順①:発音記号の発音を覚える
フォニックスを学ぶにあたっては、まず下準備として発音記号の発音を覚えるところから始めましょう。
ここまででお伝えしたように、フォニックスは「発音記号」と「単語」の組み合わせパターンを覚えるものです。そのため、そもそも発音記号の正しい音の作り方を知っていることが前提となります。
英語は、文字の名前(アルファベット読み)と実際の発音が異なるため、それぞれの音を正しく発音するためには発音記号の知識が不可欠です。発音記号の知識をインプットしてからフォニックスの学習に移行することで、効率良く発音記号と単語パターンの組み合わせを覚えられるようになります。
手順②:フォニックスの練習
発音記号でそれぞれの音の作り方を学んだら、次にフォニックスでそれぞれの発音記号を使う単語のパターンを学習します。たとえば、練習対象が母音の/ά/の発音だとすれば、「hot」「pot」「bod」「dot」など単語の組み合わせパターンを覚えるように練習します。
フォニックスにはさまざまなルールが存在しますが、これらのルールを一つずつ暗記する必要はありません。機械的に暗記しようとするよりも、歌や動画、絵本などを活用しながら身をもって覚える方が効果的です。
フォニックスの練習に取り組むことで、英単語のスペルを見たときに「音」と「スペル」が紐付くようになるため、正しく発音できるようになります。
手順③:音声変化・アクセントを学ぶ
発音記号とフォニックスを学ぶと、これまで聞き取れなかった英単語を聞き取れるようになったり、知らない英単語でも正しく発音できるようになったりといった効果を実感できます。これに加えて、英語のリスニング力・発音を強化するには、音声変化とアクセントを学ぶことも重要です。
音声変化とは、英語がナチュラルスピードで話されると起こる音の変化のことです。英語では、単語の終わりの音とそれに続く単語のはじめの音がつながって発音されたり、別の音として発音されたりすることがあります。
たとえば、“I told you.”を「アイ トールド ユー」のように区切って発音するネイティブスピーカーはいません。決まって、「アイトージュー」のようにリンキングして聞こえるはずです。
また、より英語らしい発音に近づくためには、アクセント(強弱の付け方)も学んでおく必要があります。英語の発音記号を見るとわかるように、英単語には「generous(dʒén(ə)rəs)」「people(/píːpl/)」のように音節にアクセント(’)が置かれています。
発音記号やフォニックスと合わせて、音声変化やアクセントなどの知識も学ぶことで、より“英語らしい”発音を身につけることができます。
手順④:お手本の音声をリスニングする
次に、ここまでで身につけた発音の知識を生かして、ネイティブのお手本音声をじっくり丁寧にリスニングします。発音に集中して音声を聞くことで、身をもって音の出し方やフォニックスのルール、音声変化、アクセントといったさまざまな発音のルールを理解できるはずです。
お手本の音声を丁寧にリスニングした後は、音読練習にも取り組んでみましょう。
手順⑤:自分の発音を判定する
発音学習や音読練習を一通り終えたら、次に自分がどのくらい正しく発音できているのか判定してみましょう。自分の発音を録音し、発音練習前と比べてより“英語らしく”発音できているかチェックしてみましょう。
この際、「スピード」や「脱カタカナ度」「なめらかさ」などの項目を意識してチェックするのがポイントです。
しかし、「自分で自分の発音を聞くだけでは、正しく発音できるようになったのかわからない」と感じる方も多いと思います。実際に、英語初心者が自分一人で発音を判定したり矯正したりするのはほとんど不可能です。
そこでおすすめなのが、英語の発音判定機能が備わったアプリを活用する方法です。当社の「プロンテストシリーズ」のアプリなら、発音試験に匹敵する精度で発音を判定した上で、具体的な直し方まで指導することができます。口の開け方や舌の使い方など、具体的にどこをどう直せば良いのかがわかるので、効率良く正しい発音習得を目指すことが可能です。
手順⑥:繰り返し発音練習に取り組む
ここまでで、フォニックスで英語の発音を学ぶ正しい手順についてお伝えしました。正しい発音を習得するためには、以上5つの手順を継続して繰り返し行うことがとても大切です。なぜなら、自転車に乗る機会がないと乗り方を忘れてしまうように、発音練習をしないでいると口の筋肉が発音の仕方を忘れてしまうからです。
フォニックスの学習を通して正しい発音が身についた後も、継続的に発音練習に取り組むことを心がけましょう。
フォニックス発音学習におすすめの本
次に、フォニックスの発音学習に役立つおすすめの本を2冊紹介します。
Fox in Socks
『Fox in Socks』は、早口言葉を用いて楽しく英語の発音学習ができる子供向け絵本教材です。Dr.Seussの絵本シリーズは、『The Cat in the Hat』や『Hop on Pop』などタイトルごとに練習対象の「音」が異なるので、ぜひ学習したフォニックスのルールに合わせた一冊を手に取ってみてください。
「英語圏の子供達に親しまれている本を使ってみたい!」「絵本で楽しくフォニックス練習をしたい」などという方におすすめです。
公式サイト
Let’s Study Phonics Book
「Let’s Study Phonics Book」は、105ものフォニックスルールを学習できる教材シリーズです。本シリーズでは、小学生レベルのかんたんな英単語を用いてフォニックスのルールをじっくり学習することができます。別売りのCDを活用すれば、フォニックスのルールを耳で聞いて覚えることも可能です。
子供向けのフォニックス教材本ですが、「基礎からしっかり学びたい!」という英語初心者の大人にもおすすめできる一冊となっています。
公式サイト
フォニックス発音学習におすすめのアプリ
フォニックス発音学習の一環として取り組みたい発音記号のインプットや発音練習、発音判定には、アプリの活用がおすすめです。ここでは、発音練習・発音判定に特化した当社プロンテストのアプリを2つ紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』は、高精度な発音判定・指導が可能なプロンテスエンジンを搭載したスピーキング練習アプリです。日常英会話で使える便利フレーズを使った会話練習に取り組みながら、正しい発音の習得を目指します。
英語の発音記号の発音練習に取り組めることはもちろん、自分の発音の評価を確認したり、どこをどう直せば良いのかを指導してもらったりできるので、効率的に学習に取り組めます。フォニックスを学ぶ下準備として、発音記号などの基礎知識を身につけたい方や、発音判定・発音練習をしたい方におすすめです。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,200円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,320円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額880円(税込)
公式サイト
プロンテストシリーズ プロンテスト・コール
『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』は、発音練習と正しい文法の習得ができる当社プロンテストのスピーキング練習アプリです。本アプリでは、一つひとつの練習に丁寧に取り組みながら、「相手と信頼関係を構築するための英語」を身につけることができます。
アプリ一つで発音練習・スピーキング練習に取り組めるため、「人前で発音練習をするのは抵抗がある」という方や、「自宅で自分のペースで、フォニックスや発音、文法を学びたい」という方におすすめです。
アプリは無料でお試しすることも可能ですので、少しでも気になった方はぜひ以下の公式サイトより詳細をご確認ください。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)
公式サイト
フォニックスを効果的に学ぶためのポイント
続いて、フォニックスを効果的に学ぶためのポイントを2つお伝えします。
「発音記号」→「フォニックス」という順序で学ぶ
子供の場合、発音記号を学ぶことは難しいので、フォニックスから学ぶことがほとんどですが、大人の場合は「発音記号」→「フォニックス」という順序での学習・練習がおすすめです。というのも、上でもお伝えしたとおり、フォニックスは発音記号と単語の組み合わせパターンの学習なので、そもそも発音記号の音の作り方がわかっていない状態ではパターンの覚えようがないからです。
「フォニックスを学ぼう!」と思い立ったなら、ぜひまずは発音記号の発音を覚えるところから、体系的に知識を身につけていきましょう。
絵本や歌を活用して楽しく学ぶ
フォニックスには、英語を正しく発音するためのさまざまなルールが存在します。これらのルールを機械的にすべて覚えるのは容易ではありません。
そして何より、ルールをただ覚えるだけでは単調な学習になり、飽きやすくなってしまいます。そこでおすすめなのが、絵本や歌、動画などのコンテンツを活用して楽しみながら視覚的・体感的に学ぶ方法です。
フォニックスは、もともと英語を母国語とする子供が発音を学ぶための学習法ということもあり、絵本や歌動画で楽しくフォニックスを学べるコンテンツが充実しています。YouTubeやアプリなどを活用しながら、楽しくフォニックスを学習していきましょう。
急ぎの人は発音クリニックで直接指導してもらう
プロンテストが出している学習アプリやその中の音声指導技術は、音声学をもとにしています。そのため、判定内容や指導内容にも学問的裏付けがあります。英会話スクールでは、発音記号を読めない・または読み方を知らない教員が指導している場合がほとんどです。
一方でプロンテストでは、大学の英米文学科などで指導される英語音声学に基づいて、発音記号一つ一つの読み方、調音器官(舌や歯など)の使い方を正確に指導する知見を持っています。
また、音声学はそのままだと初学者には難しいので、プロンテストは専門的な音声学の内容をわかりやすく噛み砕いて、すぐに身に着けられるような指導も行っております。
定期的に発音セミナーを開催していますので、発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
まとめ
今回は、フォニックスの意味や学習メリット、フォニックスを用いた正しい発音学習の手順について紹介しました。
英語の「音」と「スペル」の紐付けを練習するフォニックスは、英語の発音やリスニング力を向上させたい方におすすめの学習法です。今回紹介した学習の手順を参考に、発音記号・フォニックスの学習、そして発音練習に繰り返し取り組んできれいな発音を身につけましょう。
当社プロンテストは、自信をもって英語を話すのに欠かせない「通じる発音」を身につけるためのアプリとサポートを提供しています。「アプリで音読や発音練習をしたい!」「楽しくスピーキング練習をしながら発音を習得したい」などという方は、ぜひ「プロンテストシリーズ」のアプリをお試しください。