英文法は、英語の文章を理解したり作成したりするのに不可欠な知識です。しかし、英語と日本語は語順が大きく異なることもあり、「英文法は難しい」と苦手意識を抱いている方は少なくないでしょう。
今回は、英語習得における「文法」の必要性・学習メリットについて解説し、英文法の勉強方法と覚え方のコツをわかりやすく紹介します。
英語習得に文法は必要?
そもそも、英語を習得するのに「文法」の知識は必要なのでしょうか?
結論からお伝えすると、文法の知識は英語の習得に不可欠です。なぜなら、文法というのは、単語を正しい語順で並べるためのルールであり、ルールを知らなければ、英語の文章を作成したり、理解したりすることはできないからです。
たとえば、文法の知識が不足していると、英単語を知っていても自分で文を組み立てられないため、準備なしに会話に参加したり、深い話をしたりすることはできません。また、英文法を知らないと、簡単な英文なら理解できても、長文や複雑な話になると理解が追いつかなくなってしまいます。
このように、文法を学ばないと、英語のリーディングやリスニング、ライティング、スピーキングに支障が出てしまいます。英文法に苦手意識を抱く人は少なくありませんが、英語習得には必要だと割り切って、英文法を勉強する必要があります。
日本語と英語は語順が違う
英語習得に文法の勉強が必要である理由は、実はもう一つあります。それは、日本語と英語は語順(単語を並べる順番)が異なることです。
日本語と英語では、文を組み立てる際の「語順」が大きく違うため、文法の知識なしに“感覚”だけで正しい文章を作成することは不可能です。
たとえば、「私は英語を話します。」というシンプルな文章を例に、日本語と英語の語順をチェックしてみます。
- 私は英語を話します。
- I speak English.
日本語は、「主語(S)→目的語(O)→動詞(V)」の語順になっているのに対して、英語の語順は「主語(S)→動詞(V)→目的語(O)」になっています。こんなにシンプルな文章でも語順に違いが出るほど、日本語と英語の語順は大きく異なります。
日本語とまったく語順が違う英語を習得するには、英語の語順のルール、要は「英文法」を勉強する必要があります。
英語の文法を学ぶメリット
続いて、英文法を習得すると、どのようなメリットが得られるのかについてお伝えしていきます。
- 自分で英語の文章を作れるようになる
- 英文の理解力とスピードが向上する
- 単語や英文を丸暗記するより効率が良い
自分で英語の文章を作れるようになる
英文法を勉強する最大のメリットは、自分で英語の文章を作れるようになることです。
“How are you?”とか“I’m fine, thank you.”のような英語フレーズを丸ごと覚えるのではなく、時と場合に応じて臨機応変に英文を作成できるようになるので、ライティング力やスピーキング力が上がることはもちろん、コミュニケーションの幅も広がります。
また、文法の知識があれば、時制や表現のフォーマル度など、細かなニュアンスまでしっかり相手に伝えられるようになります。
英文の理解力とスピードが向上する
英文法を学ぶメリットの二つ目は、英文の理解力と理解スピードが向上することです。
英語の文章を詳細までイマイチ理解できなかったり、リスニングで理解が追いつかなかったりすることはありませんか?
単語単位なら理解できるのに、文章になると理解力や理解スピードが不十分なように感じるのは、文全体の意味を理解するための英文法の知識が不足していることが原因です。英文法を勉強すれば、文全体の意味を正確かつ素早く取れるようになるため、英文の理解力と理解スピードが飛躍的に向上します。
単語や英文を丸暗記するより効率が良い
英文法を習得すれば、自分で臨機応変に英文を作成できるようになるので、単語やフレーズ、決まった英文をひたすら丸暗記するよりも遙かに効率が良いです。
ネイティブであれば文法を勉強せずに、感覚で正しい語順をマスターすることもできるかもしれません。しかし、英語を外国語として学ぶ日本人の場合、規則として文法を覚えてしまったほうが、結果的により少ない労力でラクに英語学習を進めることができます。
英文法の勉強方法:インプット編
英文法を使えるようになるには、まずは英文法の知識をインプットする必要があります。ここでは、英文法のインプット勉強法を具体的に解説していきましょう。
中学レベルの文法ルールを学ぶ
まずは、中学レベルを目安に、英文法のルールをインプットしていきます。
基本的に、中学レベルの英文法がしっかり身についていれば、英語での会話に難なく参加できるようになります。学習目的や目指すレベルにもよりますが、まずは中学レベルの英文法を学び直すところから始めましょう。
中学英文法の中でも、自分が理解していない文法事項については、時間をかけてでもしっかり理解できるまで学ぶことが大切です。たとえば、時制が苦手なら時制を、前置詞が苦手なら前置詞を重点的に学習しましょう。
英文法を英語のまま理解する
基本的な英文読解力が身についている方の場合、英文法を英語のまま理解する勉強法がおすすめです。英文法が日本語ではなく、英語で解説された教材を使うことで、英文法を英語の感覚のまま習得することができます。
たとえば、「現在完了形」と「現在完了進行形」という2つの文法事項の違いがわからないとき、日本語の解説文を読んでもあまり腑に落ちないことが珍しくありません。そこで、英語の説明文を読んでみると、これまで理解できなかった細かなニュアンスまでストンと理解できることがあります。
『Grammar in Use』がおすすめ!
英文法を英語で学びたい方には、ケンブリッジ大学出版のベストセラー文法書『Grammar in Use』シリーズがおすすめです。このシリーズは、英文法を英語オンリーで解説した文法書となっており、「実用的な英文法が身につく」と世界中の英語学習者から高く支持されています。
イギリス英語版とアメリカ英語版の初級・中級・上級があるので、ぜひ自分のレベルに合った一冊を使って英文法を勉強してみてください。
さまざまな英語の文章を読む
英文法の知識は、さまざまな英語の文章を読むことで養うことができます。英語の文章は「文法」で成り立っていますから、一文一文「どのような文法で成り立っているか」「文法がどのように使われているか」を意識しながら読むことは、とても良い練習になります。
また、文章を読みすすめていく中で意味が取れない文章があったなら、自分が理解できていない文法を把握するのにも役立ちます。日常会話レベルの文章なら、基本的に中学レベルの簡単な文法のみで成り立っていることがほとんどですので、ぜひたくさんの英語の文章に触れてみてください。
英文法の勉強方法:アウトプット編
英文法の知識をインプットした後は、アウトプットで学んだことをしっかり定着させることが大切です。アウトプットを行うことで、英文法をただ「知っている」状態から、使いこなせる状態を目指せます。
ここでは、英文法のアウトプット勉強法を4つ紹介します。
英文を声に出して読む
英語の音読練習は、インプットした英文法の知識の自動化に効果的です。知識の自動化とは、身につけた知識を“自動的”に使えるようになることをいいます。
英文を声に出して読む際のポイントは、英文を日本語に訳すことなく、音読するのと同じスピードで意味を理解することです。英文を音読しながら自然と意味を理解できるようになる頃には、英文法の知識は自動化され、読んだり聞いたりしたときに自然と理解できるレベルに到達できます。
ちなみに、音読に取り組む際は、間違った発音が定着しないように注意してください。音読練習に取り組む前の段階で「発音練習」に取り組むこと、また音読する前にお手本となるネイティブの音声を聞いて真似するように声に出して読むことを徹底しましょう。
並べ替えと穴埋め問題に取り組む
英文法の並び替えや穴埋め問題などを解くことは、英文法の知識を定着させるのに役立ちます。多くの英文法参考書には、文法事項の理解度を確認し、さらに深めるための練習問題が収録されています。
参考書や英文法アプリなどを活用して、直近で学んだ文法事項の並べ替え問題や穴埋め問題に取り組みましょう。
並べ替え問題は、文法のルールに沿って単語を正しく並べ替える練習に最適です。自分でゼロから文章を作成するのと比べてハードルが低いので、初心者〜中級者でも無理なく取り組むことができます。
(例)
- 問題: studied / have / i / should / harder
- 回答:I should have studied harder.(もっと勉強すべきだった。)
一方、穴埋め問題は、前置詞や代名詞などの知識の定着度をチェックするのに適しています。文の構造を理解し、自分で答えを考える必要があるので、やや難易度は高いですが、文法の知識がしっかり「使えるレベル」まで身についているかどうかを確認できます。
(例)
- 問題:Please submit the assignment( )next Friday.
「その課題を来週金曜日までに提出してください。」
- 回答:by
新たに学んだ文法を使って英文を書く
新たに文法事項を学んだら、その文法を使って実際に英文を書いてみましょう。
自分で英文を作成できるということは、文法の意味や使い方をしっかりと理解できている証拠です。つまり、英文を書く練習をすることで、英文法の理解度をグッと深め、自分の言葉として自然に使えるレベルを目指すことができます。
英文の書き方としては、ターゲットとなる文法を使ってオリジナルの例文を作ったり、英作文を書いたりする方法がおすすめです。慣れないうちは、参考書やアプリなどに登場する例文をもとに作成するだけでも十分良い練習になります。
慣れてきたら、3文、5文、そして10文程度……と量を増やしていき、英文を書くことを習慣化しましょう。英文を書いた後は、読み直して間違いがないかチェックするのはもちろん、可能であればネイティブや英語が得意な知人に添削してもらうとより効果的です。
スピーキングの反復練習をする
文法を使って英文を書くことに慣れたら、次は文法を使って英語を話す練習に取りかかりましょう。
ライティングよりも瞬時に英文を組み立てることが求められるスピーキング練習は、インプットした英文法の知識を自動化させるのに非常に有効です。スピーキングの反復練習を通して、英文法を無意識に使えるレベルにまで定着することを目指しましょう。
英文法の覚え方のポイントとコツ
英文法の覚え方のポイントとコツを3つ紹介します。
- 日本語訳ではなくイメージと紐付けて覚える
- 文法用語を無理に覚えようとしない
- インプットとアウトプットのバランスを意識する
日本語訳ではなくイメージと紐付けて覚える
英文法の覚え方のコツは、イメージと紐付けて覚えることです。
たとえば、英語にはたくさんの前置詞があって覚えるのが大変ですよね。だからといって、「on = 〜の上」とか「in = 〜の中に」のように日本語訳と対で覚えてしまうと、実際の英会話には対応しきれません。というのも、英語の前置詞は一つだけでなく、たくさんの意味を持っているからです。
日本語訳と対で覚えるのは、文法知識を直接的に問われるテストでは役立っても、実践的に使える英文法を習得することにはつながりません。
そこでおすすめなのが、イメージと結びつけて覚える方法です。
たとえば、「on」という前置詞は、「(面に)接触している」というイメージと紐付けて覚えるとわかりやすいです。また、「in」という前置詞なら「中に入っている」という視覚的イメージで覚えておくと、その前置詞を見たり聞いたりしたときに、日本語に訳すことなく、英語のままダイレクトに理解できるようになります。
文法用語を無理に覚えようとしない
英語の文法を勉強する上で難しいと感じるのが、文法用語です。「再帰代名詞」「現在完了進行形」「付加疑問文」など、頑張って覚えないと意味がわからないような難しい文法用語がたくさん存在します。
ここまで、英語習得には文法が不可欠だとお伝えしましたが、これは文法用語そのものを覚えなければならないということではありません。文法用語を知らなくても、文法事項(ルールや使い方)をしっかり理解していれば、英語習得に支障はありません。
文法用語が難しいと感じるのであれば、無理に覚えようとせず、文法事項を理解することと自然に正しく使えるようになることに注力しましょう。
インプットとアウトプットのバランスを意識する
英文法を習得するには、インプットとアウトプットの両方をバランス良く行うことが大切です。インプットばかり重点的に行っていると「知識はあっても使えない」状態に、逆にアウトプットしかしていないと「アウトプットする知識がない」状態に陥ってしまい、学習の効果が出にくくなります。
インプットをしたらアウトプット、アウトプットをしたらインプット……と、バランスを意識して日々の英語学習に取り組みましょう。
英語の文法学習におすすめのアプリ
ここまで、英文法の勉強方法と覚え方のコツを紹介しました。そこで次に、英文法の習得に役立つおすすめのアプリを厳選して3つ紹介します。
プロンテストシリーズ プロンテスト・コール
『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』は、発音練習に取り組みながら、正確な文法を自然に身につけられるスピーキング練習アプリです。
会話内容に中学・高校レベルの英文法が織り込まれているので、前置詞や人称代名詞といった英文法を反復的に練習しながら、自然に身につけることができます。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)
公式サイト
LearnEnglish 英文法
『LearnEnglish 英文法』は、無料の英文法学習アプリです。ブリティッシュ・カウンシルによって提供されています。
入門から上級まで幅広いレベルに対応しており、英文法の練習・強化に役立つインタラクティブな問題を何千と収録しています。問題を解いてすぐに答え合わせができるようになっているため、効率的に英文法の知識を強化していくことができます。
料金
- 無料(※アプリ内課金あり)
公式サイト
- LearnEnglish英文法(iOS)
- Learn nglish英文法(Android)
Johnny Grammar Word Challenge
『Johnny Grammar Word Challenge』は、制限時間内(60秒)に次から次へと出題される文法クイズに答えていくクイズ形式の英文法学習アプリです。
前置詞や形容詞、名詞の複数形など、幅広い文法知識をカバーしているので、英文法の実力チェックに最適です。1回あたりの制限時間が短く設定されていて、毎日の英語学習に取り入れやすいのもうれしいポイントです。
料金
- 無料
公式サイト
まとめ
英文法は、苦手意識を抱きやすいものの、英語習得には不可欠な分野です。英文法を学ぶと、英語の文章を作成できるようになる他、英文の理解力と理解スピードも向上します。この記事で紹介した勉強法やコツを参考にして、英文法を無意識に使えるレベルにまで定着させることを目指しましょう。
当社プロンテストは、スピーキングの反復練習で正しい発音や文法を自然に習得できるアプリを提供しています。会話練習を通して英文法の知識を定着させたい方や、英文法と発音を重点的に強化したい方は、ぜひ『プロンテスト・コール』をお試しください。
急ぎの人は発音クリニックで直接指導してもらう
プロンテストが出している学習アプリやその中の音声指導技術は、音声学をもとにしています。そのため、判定内容や指導内容にも学問的裏付けがあります。英会話スクールでは、発音記号を読めない・または読み方を知らない教員が指導している場合がほとんどです。
一方でプロンテストでは、大学の英米文学科などで指導される英語音声学に基づいて、発音記号一つ一つの読み方、調音器官(舌や歯など)の使い方を正確に指導する知見を持っています。
また、音声学はそのままだと初学者には難しいので、プロンテストは専門的な音声学の内容をわかりやすく噛み砕いて、すぐに身に着けられるような指導も行っております。
定期的に発音セミナーを開催していますので、発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。