英語独特のリズムを身につけるために知っておきたい練習方法やコツをわかりやすく解説します。英語では、発音の際に強弱やスピードに変化がつく場合が多くあります。リズムを練習するのに活用したい教材・アプリも紹介します。
英語を流暢に話すために体得すべきことの一つに、「英語のリズム」があります。ナチュラルスピードの英語を聞き取ったり、ネイティブスピーカーに「通じる発音」を身につけたりするためには、英語特有のリズムの特徴を捉えることが欠かせません。
そこで今回は、英語のリズムを捉えるために知っておきたい規則・ルール、そして効果的な練習方法を紹介します。
英語のリズムとは?
英語のリズム(rhythm)とは、英文における「強弱」や「スピード」の変化のことです。
たとえば、「Tell us about yourself.」という英文を例にとってみます。もしそれぞれの単語を正しく発音できたとしても、リズムがズレていれば、何を伝えたいのかネイティブスピーカーには通じません。
正しくは、「Tell us about yourself.」のように、太字の箇所を強くゆっくり発音し、リズムをつけて発音します。「us」という単語の発音は[ˈʌs]ですが、上のような文章においては[əs]と弱形の発音に変わります。
これは、話の中心となる語(内容語)を強調し、聞き手に話の全体像をスムーズに理解してもらうためであり、英語を英語らしく、流暢に話すためには、英語特有のリズムを習得することが欠かせません。
実際に、ブリティッシュ・カウンシルが提供する「Teaching English」というサイトでは、英語のリズムについて次のように言及されています。
English is a very rhythmical language, so that a learner who can maintain the rhythm of the language is more likely to sound both natural and fluent.
「英語はリズミカルな言語であるため、英語特有のリズムを維持できる学習者ほど、より自然かつ流暢に聞こえやすい。」とのことです。ネイティブスピーカーのような綺麗な発音を手に入れるためには、いかにリズムが大切かわかりますね。
英語のリズムを学ぶメリット
では、英語のリズムを学ぶとどんなメリットがあるのでしょうか?
ナチュラルスピードの英語を聞き取れるようになる
英語特有のリズムを知ることで、ネイティブスピーカーの英語がより聞き取りやすくなります。
ナチュラルスピードの英語の音声を聞いたとき、「スクリプトを読めばわかるのに、速すぎて聞き取りにくい」と感じることはありませんか?実は、これはネイティブスピーカーが早口だからということではなく、英語のリズムが大きく関係しています。
詳しくは後述しますが、英語には「内容語は強く遅く発音し、機能語は弱く速く発音する」というリズムのルールがあります。たとえば、「There is a basket on top of the refrigerator.」という英文は、文字で見るとそれほど難しい文章ではありませんが、音声で聞くと「on top of the」という部分が速くて聞き取りにくいと感じると思います。
これは、前置詞や冠詞など、語彙的な意味を持たない機能語が弱く速く発音されているからです。会話では、「basket」や「refrigerator」など、話の中心になることばを強調し、かつゆっくり発音します。英語のリズムを学ぶと、「強く発音されている箇所=話の中心」とわかるため、ナチュラルスピードの英語が聞き取りやすくなります。
「通じる発音」が身につく
英語のリズムを学ぶことで、リズムのある英語を話せるようになり、ネイティブスピーカーにしっかり「通じる発音」が身につきます。
英語の発音というと、[l]と[r]など英語の母音・子音の発音を完璧にすることに注力しがちです。しかし、実際には、母音・子音の発音だけでなく、英語特有のリズムを押さえることも大事なポイントの一つです。
ネイティブスピーカーのような綺麗な発音を習得したいのであれば、発音記号や音声変化などのルールに加えて、英語特有のリズムも体得しておくことをおすすめします。
英語を「音のかたまり」として捉えられる
英語のリズムを学ぶことには、英語を「音のかたまり」として捉えられるようになるというメリットもあります。たとえば、「on top of that, 〜(それに加えて〜)」というフレーズは、4つの単語を一つひとつ区別して捉えるよりも、一つの塊として捉える方が自然に発音することができます。
音声変化やリズムなどの発音のルールを学ぶことで、ネイティブスピーカーがどのように発音しているかがわかるので、英語を「音のかたまり」として捉えられるようになります。すると、発音が伝わりやすくなるのはもちろんのこと、リスニング力も向上します。
英語リズムの規則・ルール
ここでは、英語のリズムの基本的な規則・ルールを紹介します。
内容語 vs 機能語
英単語は「内容語」と「機能語」に分けられ、内容語は強く遅く、機能語は弱く速く発音されます。
内容語(強く遅く発音される) | 機能語(弱く速く発音される) |
名詞形容詞動詞副詞数詞 など | be動詞人称代名詞前置詞接続詞冠詞 など |
内容語と機能語の発音の違いについて、詳しく解説していきましょう。
内容語
内容語(content words)とは、語彙的な意味を持つ単語のことです。名詞や形容詞、動詞などがこれに当たり、いずれも文法的な意味は持っていないことが特徴です。
たとえば、以下の例文では太字の単語がすべて「内容語」となります。
(例)
- Tom and Mary go to the same high school in town.
このように、語彙的な意味を持つ内容語は、強く遅く発音されます。話の中心になることばを強調して発音することで、相手に話の全体像を伝えやすくしているのです。
機能語
機能語(function words)とは、文法構造を示す単語のことです。語彙的な意味を含まない機能語は、一部の例外を除いて弱く速く発音されます。以下の例文の場合、「and」と「to the 」「in」が機能語に該当します。
(例)
- Tom and Mary go to the same high school in town.
「and」や「in」などの機能語が聞き取りにくいと感じるのは、弱く早く発音されているためです。
強形 vs 弱形
英単語の発音には「強形」と「弱形」があり、同じ英単語でも、強形か弱形かによって発音が変化します。たとえば、“are”というbe動詞は、強形だと[ɑ́ːr]とはっきり発音されるのに対して、弱形だと[ə]のような曖昧な音で発音されます。
(例)
- Are they here? ⇒ 弱形[ə]
- Yes, they are. ⇒ 強形[ɑ́ːr]
強形
「強形」とは、英単語を単体で発音する際の発音、いわゆる普通の発音のことです。「強形」という呼び名から、標準よりも強い発音をイメージしそうになりますが、とりわけ強くも弱くも発音しない普通の発音のことを指していることに注意しましょう。
弱形
「弱形」とは、弱く曖昧な発音のことです。文章の中で大きな意味をもたない単語は、弱形で発音されます。具体的には、上で紹介した機能語(be動詞や人称代名詞、前置詞など)は、弱形で発音されるのが基本です。
上で紹介した「Are they here?」の例文のように、単語が弱形になると、[a][æ][ʌ]の音は、曖昧な母音(schwa sound)の[ə] に変わります。なお、弱形の音は語尾を伸ばさずに発音されます。
英会話においては、この「弱形」こそが英語特有のリズムを生み出しています。強形で発音される単語の中に、弱くて曖昧な弱形が入ることで、音声が流暢に聞こえるのです。ここでは、よく弱形で発音される単語例を、発音記号とともにいくつか紹介します。
(例):be動詞
- am [ˈæm]⇒[m]
- is [íz]⇒[ɪz]
(例):人称代名詞
- he [híː]⇒[i]
- us [ˈʌs]⇒[əs]
(例):前置詞
- at [ˈæt]⇒[ət]
- from [frάm]⇒[frəm]
話者の意図
ここまでで、内容語と機能語、強形と弱形のリズムの規則・ルールについて解説しました。
しかし、実際の英会話では、これらのルールが絶対というわけではありません。会話の流れや話者の意図・感情などによっても、英語のリズムは変化することを押さえておきましょう。
たとえば、以下の文章はどれも「文字」で見れば違いはありません。ただし、どの単語を強く遅く発音するかによって、伝わる意図や意味合いは変わってきます。
- I said he might come.
⇒「I」を強調することで、「他の誰かではなく私が」という意味を示す。
- I said he might come.
⇒「said」を強調することで、「〜と言った」という意味を示す。(相手が聞き返してきたときや、自分の発言を忘れていたり勘違いしていたりしたときなど)
- I said he might come.
⇒「he」を強調することで、「他の誰かではなく彼が」という意味を示す。
- I said he might come.
⇒「might」を強調することで、「かもしれない」という曖昧なニュアンスを示す。
たとえば、最後の一例だと、次のような会話が想像できます。
A:Is Tom coming tonight?(今夜、トムは来るの?)
B:He might come.(来るかもしれないね。)
2 hours later…(2時間後…)
A:Where is Tom? You said Tom is coming.(トムはどこ?来るって言ってたよね?)
B:I said he might come.(「来るかもしれない」って言っただけだよ。)
このように、英語の会話においてリズムはとても話し手の意図を伝える重要な役割を果たします。相手の意図を理解するため、そして多くを語らず自分の意図を的確に相手に伝えるためには、英語のリズムを習得することが欠かせません。
英語リズムの練習方法とコツ・ポイント
続いて、英語のリズムの練習方法と練習する際のポイントを紹介します。
海外ドラマを視聴する
日常会話で使えるリアルなフレーズが多く登場する海外ドラマは、ナチュラルスピードの英語に触れる方法として最適です。海外ドラマを繰り返し視聴することで、英語特有のリズムや発音、イントネーションなどが身につきます。
ただし、海外ドラマをただ観るだけで自然に英語のリズムや発音が良くなるわけではありません。リズムを習得したいのであれば、字幕を必ずオフにして、「耳」だけを頼りに「音」と「リズム」に集中してエピソードを視聴することが大切です。
また、エピソードを2〜3回観たら、登場人物になりきってセリフを音読するのもおすすめです。好きなシーンのセリフを真似するように、声に出して発音してみてください。こうすることで、英語特有のリズム感を体得できるはずです。
お手本音声を真似するように音読する
海外ドラマを使った練習法に加えて、ポッドキャスト番組やラジオ、YouTube、海外ニュースなどの「音声」と「スクリプト」を活用した音読練習も、英語のリズムの体得に効果的です。
ネイティブスピーカーのお手本音声を繰り返し聞いた後、「どこを強く・弱く発音しているか」「リズムによってどう意図を伝えているか」を意識しながら、何度も音読します。お手本の音声をそっくり真似できるようになるのを目指しましょう。
頭で暗記しようとせず耳・体で覚える
ここまでで、英語のリズムの規則・ルールを紹介しました。しかし、「内容語=強く遅く発音される」「機能語=弱く速く発音される」のように、無理してルールを頭で暗記する必要はありません。
というのも、英語の発音学習全般においては、ルールを機械的に暗記するよりも、耳や体を使って覚える方がずっと効果的だからです。海外ドラマを何度も観たり、ネイティブスピーカーの音声を真似するように「リズム」を意識して音読練習したりするなどして、英語のリズムを体で覚えましょう。
英語のリズム練習におすすめの教材・アプリ
続いて、「英語のリズムを練習したい!」という方におすすめのアプリを2つ紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』は、簡単なフレーズを用いた会話練習を通して正しい発音を身につけられるスピーキング練習アプリです。本アプリは、英語の発音を判定・分析・評価する「発音判定機能」を搭載しており、これにより発音のリズムを視覚的に表現・評価することができます。
英語の発音・リズムの学習経験がない方でも、発音特訓パックがあれば効率良く「通じる発音」を習得できます。「独学での発音・リズム練習に不安を感じる……」「楽しく発音・リズムを練習したい」という方は、ぜひお試しください。
料金プラン
- ヶ月プラン:月額2,200円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,320円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額880円(税込)
公式サイト
プロンテストシリーズ プロンテスト・コール
『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』は、就職準備や留学生、国際ビジネスマンにおすすめのスピーキング練習アプリです。会話練習を通して、良い人格が伝わるような「品格のある英語」の自然な習得を目指せます。
すでにある程度の英語力を有しているものの、英語の発音やリズムに不安が残る方や、自分の英語力にもっと自信をつけたい方におすすめです。アプリは無料でお試しもできますので、気になった方は公式サイトをご確認ください。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)
公式サイト
急ぎの人は発音クリニックで直接指導してもらう
プロンテストが出している学習アプリやその中の音声指導技術は、音声学をもとにしています。そのため、判定内容や指導内容にも学問的裏付けがあります。英会話スクールでは、発音記号を読めない・または読み方を知らない教員が指導している場合がほとんどです。
一方でプロンテストでは、大学の英米文学科などで指導される英語音声学に基づいて、発音記号一つ一つの読み方、調音器官(舌や歯など)の使い方を正確に指導する知見を持っています。
また、音声学はそのままだと初学者には難しいので、プロンテストは専門的な音声学の内容をわかりやすく噛み砕いて、すぐに身に着けられるような指導も行っております。
定期的に発音セミナーを開催していますので、発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
まとめ
今回は、英語の発音やリスニング能力の向上に欠かせない「英語のリズム」について紹介しました。
英語のリズムは、発音記号や音声変化、アクセントなどと並んでしっかりと理解しておきたい規則・ルールの一つです。「これまで意識的に英語のリズムを学んだことがなかった」という方は、ぜひこれを機にリズムおよび英語の発音をマスターしましょう。
当社プロンテストは、英語の発音練習に特化したスピーキング練習アプリを提供しています。アプリで楽しく英語のリズムおよび発音を体得したいという方は、『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』をぜひご活用ください。