「英語を勉強しているけど、発音の見分けがつかない」というのは、英語学習者の多くが抱える課題の一つです。英語には、日本語にはない音がたくさん存在する上、ひらがなのように「1文字1音」でないため、文字から発音を見分けるのが難しいと感じるでしょう。
しかし、フォニックス(文字と発音の対応ルール)を知っていれば、文字で発音を正しく見分けることは可能です。今回は、英語の文字で発音を見分けるために知っておきたいフォニックスルールと、学習ステップを紹介します。
英語の文字で発音を見分けるには?
そもそも、英語の文字だけを見て、正しい発音を識別することはできるのでしょうか?英語の発音は、日本語のひらがなのように1文字1音で読めるものではないため、「文字だけで発音を見分けるのは難しそう……」と感じるかもしれません。
しかし、英語のフォニックス(発音と文字のルール)を知っていれば、英語の文字で正しい発音を見分けることができます。
たとえば、英語には「サイレント“e”の直前の母音は読まない」というフォニックスのルールがあります。このルールを知っていれば、「take」という英単語を見たとき、「最後の母音“e”は読まない」→「ローマ字読み『タケ』ではなく、[téɪk]だ!」とわかります。
これは、あくまでもフォニックスのルールの一例です。こういったルールを知っておくと、たくさんの英単語の正しい発音を見分けられるようになります。。
英語の発音を見分けるには「フォニックス」を学ぼう!
英語の発音を見分けられるようになる最短の方法は、英語の「フォニックス」を学ぶことです。
ここでは、フォニックスとは何かについて詳しく説明します。「フォニックスって何?」という方は、ぜひ参考にしてください。
フォニックスとは?
フォニックスとは、英語の文字と音を結びつける学習方法のことです。英語の文字と発音の対応ルールや規則を学ぶことで、文字から発音、そして発音から文字を正しく推測できるようになります。
ただし、フォニックスは、発音記号のように絶対的なルールではありません。「フォニックスを知っていれば確実に正しく発音できる」ということはなく、例外がいくつも存在することをあらかじめ頭に入れておきましょう。
すなわち、フォニックスは、すべてのルールを完璧に暗記することよりも「こんなルールがある」といったように知識として知っておくことが大切です。発音記号のように絶対的なものではないものの、フォニックスを知っていれば、基礎的な英単語の6〜7割の発音はしっかりカバーできるといわれています。
フォニックスや学習メリットなどについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
まずは「発音記号」を学んでおこう!
まず、フォニックスのルールを学ぶにあたっては、「発音記号」の知識を身につけておく必要があります。発音記号とは、英語の発音を一つひとつわかりやすく表記した記号のことで、最も基礎的な発音ルールの一つです。
英語の「音(母音・子音)」の発音記号と、それぞれの音の作り方を知らない状態では、当然ながら英語の文字を見て正しく発音することはできません。
「これまで発音記号を学んで来なかった……」「発音記号ってどういうもの?」という方は、まずは発音記号のルールからインプットしていきましょう。
英語の発音の見分け方:文字と母音のルール
では、さっそく英語のフォニックスのルールを紹介します。まずは、文字と「母音」の主なルールを4つ見ていきましょう。
ルール①:「短母音」と「長母音」
まず、大前提として、英語の母音には「短母音」と「長母音」があることを押さえておきましょう。逆に、母音の発音は基本的にこの2つの読み方しかありません。
「短母音」と「長母音」の違いを体感しやすいように、それぞれ単語例をまとめました。たとえば、「apple」と「cake」の2つの単語を声に出してみると、前者は[æ]と短い音なのに対して、後者は[éɪ]と長い音であることがわかります。
短母音 | 長母音 | |
a | apple[ˈæpl] | cake[kéɪk] |
e | elephant[éləf(ə)nt] | key[kíː] |
i | pig[píg] | kite[kάɪt] |
o | dog[dˈɔːg] | boat[bóʊt] |
u | umbrella[ʌmbrélə] | glue[glúː] |
英語の母音には「短母音」と「長母音」があること、そして発音の違いを念頭に入れた上で、ルール②以降を見ていくとより理解が深まるはずです。
ルール②:サイレント“e”の直前は「長母音」
英語には、サイレント“e”と呼ばれるフォニックスのルールがあります。サイレント“e”とは、英単語が“e”で終わるとき、最後の“e”は発音しないというルールのことです。
そして、英単語にサイレント“e”があるとき、その直前にある母音は決まって「長母音」になります。
(例)
- make [méɪk]
- note [nóʊt]
- compete [kəmpíːt]
この発音と母音の対応ルールを知っていれば、初めて見る英単語でも正しい発音を見分けることができます。たとえば、「Gale」という名前は、このルールを知っていれば、「サイレント“e”の前の母音は長母音」→[géɪl]と正しい発音を推測できますね。
ルール③:母音が続くとき、2つ目の母音は読まない
3つ目のルールは、母音が続いた場合、2つ目の母音は読まないというルールです。また、この際の前の母音は「長母音」になります。
(例)
- meat [míːt]
- blue[blúː]
- rain[réɪn]
ただし、「house[hάʊs]」や「ear[íɚ]」のように、このルールが当てはまらないパターンもいくつか存在します。そのため、ルールや例外パターンを暗記するというよりは、知識として知っておくと良いでしょう。
ルール④:2つの母音が1音になる「2重母音」
4つ目のルール「2重母音」は、2つの母音が組み合わさって新しい1音になるというものです。ここでは、代表的な組み合わせを6つ紹介します。
(例)
- oo[ʊ]:book [bˈʊk]
- ou[aʊ]:sound[sάʊnd]
- ow[aʊ]:now[nάʊ]
- oi[ɔɪ]:voice[vˈɔɪs]
- au[ɔː]:Australia[ɔːstréɪljə]
- aw[ɔː]:draw[drˈɔː]
「au」と「aw」のように、異なる子音の組み合わせでも同じ発音をすることがある点に要注意です。ここで紹介した以外にもたくさんの組み合わせがあるため、すべて覚える必要はありませんが、このようなルールがあることは知っておくと良いでしょう。
英語の発音の見分け方:文字と子音のルール
次に、文字と「子音」の主な対応ルールを2つ紹介します。
ルール①:2つの子音が1音になる「2重子音」
「2重子音」は、2つの子音が組み合わさって1音になるというフォニックスのルールです。「sh」や「th」などといった子音の組み合わせは、とてもよく登場するため、知識として知っておくと「文字」と「発音」を紐付けやすくなります。
2つの子音が組み合わさることで、元の子音とはまったく異なる発音になるので注意が必要です。ここでは、最も一般的な子音の組み合わせ例を紹介します。
(例)
- sh[ʃ]:shoes[ʃuz]
- ch[tʃ][k]:chair[tʃéɚ]、christian[krístʃən]
- th[θ][ð]:breath[bréθ]、together[tʊgéðɚ]
- ph[f]:graph[gr`æf]
- wh [hw][h]:where[(h)wéɚ]、whole[hóʊl]
- ck[k]:rocket[rάkɪt]
- ng[ŋ]:ring[ríŋ]
たとえば、sとhが組み合わさると「sh[ʃ]」という音になります。上でお伝えしたとおり、sの音ともhの音ともまったく異なる音として発音されます。
ちなみに、2つの子音が組み合わさって新たな音を作り出していることから、英語には子音の種類が24音も存在しています。アルファベットが26文字しかないのにもかかわらず、これだけ多くの子音の音があるのは、「2重子音」があるからです。
ルール②:2〜3つの子音が連続する「子音連結」
2つ目のルール「子音連結」は、2〜3つの子音が連続すると、それぞれの音が混ざり合った音になるというルールです。
「2重母音」とは、「それぞれの子音がもとの音を残しながら、混ざり合う」という点において異なります。ここでは、子音と子音のつながりの例を紹介します。
(例)s + 子音
- s+t:strawberry[strˈɔːbèri]
- s+m:smile[strˈɔːbèri]
sの音と、それに続くt、mといった子音をくっつけて素早く発音します。また、次のように子音とlが連続することを英語では「L-Blend」といいます。
(例)子音 + l
- c+l:class[klˈæs]
- f+l:fly[flάɪ]
いずれのつながりも「子音と子音の間に母音の音を入れないこと」を意識して発音することがポイントです。英語には「子音連結」を含む英単語がとても多いので、正しく発音を見分けられるように練習しておきましょう。
フォニックスの正しい学習ステップ
では、フォニックスのルールは、どのように学習すれば良いのでしょうか?次に、フォニックスの正しい学習ステップを説明します。
ステップ①:発音記号を覚える
まず、フォニックスを学ぶにあたって、下準備として「発音記号」を覚えましょう。フォニックスは、「発音」と「文字」の対応ルールを覚えるものですので、発音記号や各音の作り方を知っていることが大前提となります。
ステップ②:フォニックスを練習する
下準備を終えたら、次は実際にフォニックスの練習に取り組みます。上で紹介した文字と発音の対応ルールを確認した上で、歌や動画などを活用して発音練習に取り組みましょう。
ただし、フォニックスのルールは、受験勉強のように一つずつ頭で完璧に覚えようとする必要はありません。
それよりも、歌や動画、絵本などを通して、体で覚えることが大切です。英語の文字を見るだけで、瞬時に正しい「発音」を紐付けられるようになることを目標に、フォニックスの練習を行いましょう。
ステップ③:お手本音声のリスニング→音読練習に取り組む
次に実際に、ネイティブスピーカーのお手本音声をじっくり聞いてみましょう。発音記号やフォニックスのルールが頭に入った状態でリスニングすることで、「文字」と「発音」のつながりをより強く理解できるはずです。
ネイティブスピーカーの音声を聞いた後は、スクリプトを活用して音読練習をしてみましょう。フォニックスのルールを意識しながら、お手本音声を真似するように声に出すことで、効果的にフォニックスを習得できます。
ステップ④:発音の「英語らしさ」をチェックする
発音練習や音読練習に取り組んだら、自分の発音を客観的に聞いてみることも大切です。自分の発音を録音して聞いて、お手本の音声と聞き比べてみることで「どのくらい正しく発音できているか」「英語らしく発音できているか」がわかります。
とはいえ、「自分一人で英語らしさを判断するのは難しそう……」と感じるかもしれません。そんな方には、発音試験と同じくらいの精度で発音を判定できるアプリ「プロンテストシリーズ」の活用がおすすめです。
当社プロンテストが提供するスピーキング練習アプリを使えば、独学でも簡単に発音の「英語らしさ」をチェックすることが可能です。アプリの詳細は、当記事で詳しくお伝えします。
発音をしっかり身につけるには
フォニックスは入り口としては良いですが、しっかりと発音を身に着けて、流暢に喋れるようになるためには、英語の音声学に基づいた練習方法が有効です。
また、プロンテストは定期的に発音セミナーを開催しています。発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
英語の発音練習におすすめのアプリ
ここまでで、英語の文字で発音を見分けるためのルールや、フォニックスの学習ステップについてお伝えしました。最後に、英語の発音学習および発音練習に役立つおすすめのアプリを紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』は、通じる英語をラクに楽しく身につけるためのスピーキング練習アプリです。「発音判定機能」を搭載しており、会話練習に取り組みながら自分の発音を正確にチェックすることができます。
なお、本アプリは難しい文法を一切使っていないため、英語を学び始めたばかりの初心者でも無理なくスピーキング練習および発音練習に取り組めます
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,200円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,320円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額880円(税込)
公式サイト
プロンテストシリーズ プロンテスト・コール
『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』は、より喋り応えのあるフレーズで会話練習したい国際ビジネスマンや留学生におすすめのスピーキング練習アプリです。
「英語はある程度喋れるけど、自分の過去や将来について深くは語れない」「英語の発音にイマイチ自信が持てない……」などとお悩みの方に、ふさわしいレベル感となっています。本アプリでは、一つひとつの会話練習にたっぷり時間をかけて取り組むことで、「相手と信頼関係を構築するための英語」を習得できます。
アプリは無料登録でお試し利用することが可能です。少しでも気になった方は、下の公式サイトより、アプリの詳細をご確認ください。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)
公式サイト
LearnEnglish Sounds Right
『LearnEnglish Sounds Right』は、英語の発音チャートを収録した英語学習者向けアプリです。ブリティッシュ・カウンシルによって、完全無料で提供されています。
本アプリでは、英語の発音記号と正しい発音、その音を使った3つの単語例を確認することができます。フォニックスを学ぶ前の段階、「発音記号」で躓いている方にぜひとも活用して欲しいアプリです。
また、フォニックスを学ぶにあたって、「この音ってどうやって発音するんだっけ?」「この音の正しい発音を確認したい」などというときにも非常に役立ちます。英語学習者なら、スマホにインストールしておいて損はないでしょう。
料金
- 無料
公式サイト
- LearnEnglish Sounds Right(iOS)
- LearnEnglish Sounds Right(Android)
まとめ
今回は、英語の文字で発音を見分ける方法や、そのために知っておきたいフォニックスのルールと学習ステップを紹介しました。
ルールを知っていれば確実に正しく発音できる発音記号とは異なり、フォニックスのルールには例外が存在します。そのため、今回紹介したルールがすべての英単語に通用する訳ではありません。
しかし、フォニックスを知識として知っておけば、かなりの英単語の発音を正しく見分けることが可能です。
当社プロンテストは、正しい発音を効率良く習得するためのスピーキング練習アプリとサポートを提供しています。「英語の発音やフォニックスって難しそう……」と、発音学習を後回しにしがちな初心者でも、プロンテストシリーズを活用すれば楽しく発音練習に取り組めます。
英語の発音習得でお悩みの方は、当社の『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』および『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』をぜひ一度お試しください。