TOEICは、オフィスや日常生活での英語コミュニケーションの評価を目的としたテストです。仕事や就活、転職でTOEICが必要になったものの、勉強法がわからずに悩んでいる方は少なくないでしょう。
今回は、TOEICの勉強法をセクション別、目標得点別に分けてそれぞれ解説します。TOEICを初めて受験する初心者の方に向けて、「初心者がまずやるべきこと」も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
TOEICの基本情報
TOEICの勉強法について見ていく前に、TOEICの基本情報を確認しておきましょう。
TOEICには、「TOEIC Tests」と「TOEIC Bridge Test」という2つのテストブランドがあります。それぞれ、聞く・読む力を測る「Listening & Reading Test」と、話す・書く力を測る「Speaking & Writing Test」が用意されています。これらのテストを総称して「TOEIC Program」といいます。
一般的にTOEICというと、「 TOEIC® Listening & Reading Test( TOEIC L&R)」を指すことがほとんどです。TOEIC L&Rは、オフィスや日常生活における英語コミュニケーション能力を評価するテストで、リスニングとリーディングの2セクションで構成されています。
名称 | TOEIC® Listening & Reading Test |
内容 | ・リスニング:約45分間 ・リーディング:約75分間 |
テスト形式 | マークシート方式 |
テスト結果 | スコア評価 10〜990点(5点刻み) |
この記事では、「TOEIC L&R」に特化した勉強法を詳しく解説していきます。
TOEIC初心者がまずやるべきこと
TOEICを初めて受験する方の場合、「何から始めれば良いかわからない」というのが本音だと思います。ここでは、TOEICの受験を決めた初心者が、まずやるべきことを3つに絞って解説していきます。
TOEICの出題形式・傾向を知る
TOEIC初心者は、まずTOEIC L&Rの出題形式と出題傾向を知るところから始めましょう。なぜなら、どのような問題が出題されるのか、得点を取るにはどのような力が求められるのかを知らないまま勉強を進めるのは非効率だからです。
出題形式・傾向を把握しておけば、最短ルートで目標得点達成に必要な英語力を身につけることができます。
目標スコアを設定する
TOEICは、英検のように受験前に「級」を選ぶ必要がないので「とりあえず受けてみよう」と思うかもしれませんが、目標スコアがあるとないとではやる気に大きな差が出てきます。
今の自分の実力やTOEICを受験する目的(就活やキャリアアップなど)に合わせて、目標スコアを設定しましょう。ちなみに、TOEICの平均スコアは「588点」ですので、目標スコアを設定する際は、最低限の英語力があることをアピールできるように600点以上を目指すことをおすすめします。
TOEICの受験日と勉強スケジュールを決める
目標スコアが決まったら、TOIECの受験日を決めて、それに向けた勉強スケジュールを立てましょう。
TOEIC L&Rは、毎月1回(受験地によって例外あり)実施されています。受験日の日程が遠すぎると途中で中だるみしてしまうことが懸念されますので、2〜3ヶ月後を目安に受験日を設定することをおすすめします。
あとは、目標スコアから「どのくらいの勉強量が必要か」を逆算し、具体的な対策を練っていきましょう。
TOEICの独学勉強法:基礎編
TOEICに特化した勉強に取りかかる前に、まずは基礎学習でリスニングとリーディングの土台を作ることが大切です。土台をしっかりと作っておけば、後のリスニング・リーディング学習をよりラクに効率良く進められるようになります。
ここでは、TOEIC対策としての基礎固め勉強法を「発音」「文法」「語彙」の3つに分けて紹介します。
発音練習で土台を作る
TOEICに限らず、英語学習ではまず「発音」から取りかかるべきです。なぜなら、自分で正しく発音できない音というのは、聞き取ることができないからです。
逆にいえば、発音を勉強すると、ネイティブがどのように音を出しているのかがわかるようになるので、これまで聞き取れなかった音が理解できるようになります。すると、英語の音とイメージが頭の中で紐付くようになるので、リスニング力、続いてリーディング力が格段に高まります。
初期の段階で発音を習得しているといないとでは、この後の学習効果に大きな差が生まれますので、「何から手をつけたら良いかわからない……」とお悩みであれば、まず発音練習に取りくむところから始めましょう。
また、プロンテストは定期的に発音セミナーを開催しています。発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
基本的な英文法を学び直す
TOEICでは、直接的に文法の理解を問う問題の他、英文法の知識が不可欠な長文のリーディング・リスニング問題が多数出題されます。そのため、高得点を獲得するには、基本的な英文法の理解が不可欠です。
とはいっても、大学レベルの高度な文法まで網羅しておく必要はありません。それよりも、中学〜高校レベルの基本的な英文法を、無意識のうちに理解したり使ったりできるレベルまで身につけておくことの方が大切です。
ケンブリッジ大学出版の『Grammar in Use』などの英文法参考書を手に取って、自分が理解できていない文法事項を中心に、基本的な英文法を復習しておきましょう。
TOEICの頻出単語を中心に語彙を増やす
文法の復習と同時に、語彙の強化も行いましょう。「TOEICで目標スコアを達成すること」が学習目的なら、TOEICの頻出単語から優先的に覚えていくのが効率的です。目標得点別に、TOEICによく出る単語をまとめた教材なども登場していますので、自分のレベルに合う一冊を手に取ってみるのも良いでしょう。
英単語を覚える際は、「crowd = 人混み」のように日本語訳とセットではなく、単語のイメージや音と紐付けて覚えることを意識しましょう。
たとえば、「crowd」という単語を覚えるなら、「いつも人で混み合っている場所」や「群衆」などの視覚イメージと一緒に覚えます。すると、英単語を見たときに、日本語を介すことなく、英語のままスムーズに理解できるようになります。
TOEICは、時間勝負のテストでもありますので、「文字」や「音」として入ってくる英単語をそのままイメージに変換しないと間に合いません。時間内にすべての問題を解き終えるためにも、英単語はイメージと紐付けて覚えるようにしましょう。
TOEICの独学勉強法:リスニング編
TOEICのリスニングセクションは、次の4つのパートで構成されています。
Part1 | 写真描写問題 |
Part2 | 応答問題 |
Part3 | 会話問題 |
Part4 | 説明文問題 |
注意すべき点は、いずれのパートでも音声が一度しか放送されないことです。これを頭に入れた上で、リスニングの勉強法を具体的にみていきましょう。
多聴で「英語脳」を鍛える
TOEICのリスニングを伸ばすには、英語の音声に耳を慣らし、「英語脳」を鍛えることが大切です。なぜなら、TOEICのリスニング問題では、短文も長文も音声が一度しか放送されないからです。
「聞き逃した」「もう一度聞きたい」が通用しないTOEICで、耳にした英語の文章を日本語に訳していては、とても理解が追いつきません。英語脳を鍛えるには、まず発音・語彙・文法の知識が十分に身についていることが前提となります。
英語脳は、基礎がしっかりできた状態で、英語の音声をたくさん聞く練習をすることで鍛えることができます。
ディクテーションをする
ディクテーションとは、英語を聞きながら書き起こすという勉強法のことです。ディクテーションは、次の2つの理由からTOEICのリスニング対策におすすめできます。
一つ目の理由は、ディクテーションをすることで、英語の「音」を集中して聞き取る力が鍛えられるからです。ディクテーションでは、英単語を一つ残らず書き起こす必要があるため、英語を集中して理解する力を伸ばせます。
二つ目の理由は、ディクテーションをした後に答え合わせをすることで、自分が英語を聞き取れない理由が明確にわかるからです。発音を聞き取れていない、文法の知識が不足しているなど、自分の伸び悩みの原因とリスニング力の伸ばし方が見えてきます。
ディクテーションのやり方については、こちらの記事でわかりやすく説明しています。
TOEICの模試を繰り返し解く
リスニング力がある程度ついて聞き取れるようになってきたら、TOEICの模試(予想問題集)を反復してやり込みましょう。
予想問題集のリスニング問題は、音声のスピードや出題形式など、当然ながらTOEICの本番に限りなく近く作られています。そのため、反復してやりこむことで、TOEICで求められるリスニング力を効率良く強化することができます。
TOEICの独学勉強法:リーディング編
続いて、TOEICのリーディング勉強法をみていきましょう。リーディングセクションは下記の3つのパートで構成されています。
Part5 | 短文穴埋め問題 |
Part6 | 長文穴埋め問題 |
Part7 | 長文読解問題(4択) |
パート7では、まとまった長文が出題されます。雑誌やEメール、新聞記事など、さまざまな長文を素早くかつ正確に読めるように、対策していきましょう。
ネイティブの音声を聞いて音読する
英語の基礎力がある程度ついたら、ネイティブの音声を聞いて、音読練習に取り組みましょう。音読は、リスニングとリーディング力を同時に伸ばすことができるおすすめの勉強法です。
とはいえ、ただ何となく音読しているだけでは、あまり効果は得られません。ポイントは、ネイティブの音声を聞いて真似するように英語のスクリプトを声に出して読むことです。
これにより、正しい発音が身につき、リスニング力が伸びるとともに、音と文字が紐付くようになるので、リーディング力も向上します。音読するスピードで、英語の文章の意味を理解することができるように反復して音読に取り組みましょう。
速読トレーニングに取り組む
TOEICのリーディングで得点を取るには、速読力を鍛えることが重要です。
ここでいう速読とは、「英語の文章の意味をしっかり取りながら高速で読むこと」です。速読力を鍛えるには、第一に十分な語彙力をつけること、そして英語の文章を読む練習をたくさんすることが必要です。
自分の今の語彙力レベルに合わせて、語彙力をさらに強化したり、たくさんの種類の英文を読む練習をしたりして、素早くかつ正確に英語を読めるように速読力を強化していきましょう。
TOEICの模試を繰り返し解く
リスニングと同様に、ある程度の語彙力と読解力がついてきたら、予想問題集をやり込みましょう。本番に近い文章を読み、設問を解くことで、本番のテストで必要な速読力を鍛えられます。
また、TOEICの出題形式に慣れるという意味でも、模試はできるだけたくさん量をこなすようにしましょう。
目標得点別のTOEICのおすすめ勉強法
続いて、TOEICのおすすめ勉強法を目標得点別に紹介します。目標スコアを目指して対策を練る際の参考にしてください。
600点を目指す場合
TOEIC600点を目指す場合、単純計算でリスニング300点、リーディング300点を取得しなければなりません。そのためには、下記のポイントを意識して勉強を進めていく必要があります。
- 中学〜高校レベルの語彙・文法を一通りマスターする
- 英語の長文を読むこと/聞くことに慣れる
まず、語彙に関しては高校レベルまで、文法に関しては中学レベルまで一通りマスターすることを目標にインプットしていきましょう。知らない語彙・文法が多いと、リスニングでは理解が追いつかなくなり、リーディングでは読み進められなくなってしまいます。
選択肢では、言い換え表現が使われることも多いため、自信を持って中級レベルの語彙・文法を使いこなせるレベルまでマスターしましょう。
また、TOEICで安定して600点を取れるようになるには、英文の読解および聴解に慣れることが不可欠です。長文でも苦手意識を持たずに読んだり聞いたりできるように、たくさんの英語に触れ、読解力とリスニング力を伸ばしていきましょう。
700点を目指す場合
700点を目指すには、長文であっても細部まで理解できるように、600点の英語力をベースに語彙力と読解力、リスニング力をさらに強化していく必要があります。具体的な勉強法としては、下記の通りです。
- アウトプット学習で知識を定着・強化
- 目標得点を安定して取れるまで、模試を繰り返し解く
すでに600点を取れているなら、基礎の部分は十分に身についているということですので、たくさん模試を解いたり、英語に触れたりするなど、アウトプット学習を通して英語力をより定着させることに注力するといいでしょう。
具体的には、700点(例:リスニング350点、リーディング350点)を安定して取れるようになるまで、ひたすら模試を解きます。その過程で、TOEICの出題形式に頭と体を慣らしたり、時間配分を研究したりしましょう。
800点を目指す場合
800点を目指す場合、日常会話のリスニングやさまざまなジャンルのリーディングを難なくこなせる高い英語力を身につける必要があります。
ただし、同じ800点を目指す人でも、リーディングが苦手だったり、リスニングの得点が伸びずに悩んでいたり、苦手なセクションやパートは人それぞれです。そのため、自分が苦手とするセクションやパートを徹底的に攻略することが肝になってきます。
- 模試で苦手なセクション・パートをなくす
- 正確さだけでなく、読むスピードを強化する
TOEICで800点を取得するには、正確さはもちろんのこと、スピードも求められます。というのもリーディングで400点以上を取るには、問題を最後までしっかり解ききる必要があるからです。800点に相当する高い英語力があったとしても、時間内にリーディング問題を解ききることができなければ、800点到達は難しいでしょう。
時間を測って模試に取り組んだり、1分間に読める単語数(WPM:Words Per Minute)を意識しながら英語の文章を読んだりして、英語の文章を正確かつ素早く読む力を鍛えましょう。
900点を目指す場合
TOEICを運営するIIBCは、TOEIC860点以上を「ノンネイティブとして十分なコミュニケーションができる」と評価しており、900点の取得にはとても高い英語力が必要なことがわかります。そんな900点を目指すためのおすすめ勉強法は、下記の通りです。
- パート別にTOEIC対策を行う
- 毎日自発的に英語を聞く・読む
900点を目指すということは、語彙や文法、速読力といった総合的な英語力はすでに高い標準にあるはずです。この段階からさらなるスコアアップを目指すには、TOEICのパート別の対策に取り組み、各パートで求められる英語力をピンポイントで強化することが有効です。
とはいえ、どんなに高い英語力があっても、英語力に伸びしろがなくなることはありません。また、英語力というのは使わずにいると、自然と下がってしまうものです。
より専門的な文章を読んだり難しい内容のポッドキャストを聞いたり、ビジネスに特化した頻出表現を学んだりするなど、毎日自発的に英語に触れるように心がけましょう。
TOEICの勉強に役立つおすすめ英語アプリ
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まとめ
TOEIC L&Rの勉強法をセクション別と目標スコア別に解説しました。TOEICのスコアアップを目指すなら、初めに発音練習でしっかり土台を作ることが大切です。
スポーツや音楽と同じで、基礎が身についていない状態で、応用を身につけることはできません。まずは基礎を固めるところから始めて、効率良くスコアアップを目指しましょう。
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