【インド人の英語で検索すると】
皆さんもご存じのように、「インド人の英語がなぜ聞き取れないか」で検索すると、
実にたくさんの記事を読むことができます。
英会話スクールさんが出しているブログや、インドで仕事をされた方の実体験など、
読むと実に楽しい。
どの記事にも共通して載っていることは、インド人の発音の特徴です。
主に、英語の[ð]が「ダ」、[ɵ]が「タ」または「タ行」、
[v]が[w]になっているという書き方をしている記事が多いようです。
しかしながら、カタカナに直してしまうと、
インド人と話したときに「カタカナ音」を期待してしまうので、
本当はどういう音を出しているのか、あとで解説しますね。
【インド人の英語の特徴を知っても聞き取れるようにはならない】
そうです。その国の人が〇〇の音は、こういうふうに発音しているんだよ、
ということがわかっていても、会話の中で音を置き換えながら聞き取るのはとても大変だということです。
それに、インド人の英語の聞き取りにくいポイントは、発音だけをとりあげても、ブログで取り上げられている主な3つだけではありません。
それに、「インド人」とひとつにくくっていますが、
その母国語は数も多く、ヒンディー語だけでなく、サンスクリット語からきたもの、
ヨーロッパ言語の影響を受けたものも含まれるため、
それぞれの特徴を持つ「インド英語」はもっとたくさんのバリエーションを持っているのです。
さて、それでは、どうすれば聞き取れるようになるのでしょう。
答えは簡単です。
皆さん自身の耳が聞き取れる音の種類を増やせばよい、ということです。
【インド人の英語は、なぜ聞き取れないのか】
さきほども書きましたが、インド人の英語がなぜ聞き取れないのか。
一言でいうと、インドで使われている「母国語」の発音のくせが影響しているからです。
以下は、少し余談です。
インドの古語であるサンスクリット語は仏教の経典とともにシルクロードを経て中国へ。それがいわゆる「梵字(ぼんじ)」です。
そしてサンスクリットの音をできるだけ再現するために、中国で漢字があてがわれてから日本に伝わりました。
お経を聴いたことのある方はお分かりかと思いますが、たとえば、「般若心経」の最後の部分に
bodhi svāhā (ボーディー スヴァーハー)「菩提薩婆訶(ぼーじーそわか)」
とあり、サンスクリット語では[v]だった発音が次第に[w]に変化していった過程がうかがえますね。
(最後のひらがなの部分は、完全に日本語化したものです)
*1
ところで、インド人の発音について、ほんとうは、こちらが正解です。
[ð]: [d]に近い音ですが、舌先は、日本語の「らりるれろ」よりも、さらにのどに近い場所で上あごに接して、英語の[d]と同じ方法で発音しています。
[ɵ]: [t]に近い音ですが、舌先は、日本語の「らりるれろ」よりも、さらにのどに近い場所で上あごに接して、英語の[t]と同じ方法で発音しています。
[v]: [w]に近い音に聞こえるかもしれませんが、英語の[w]とは唇の形が異なるようです。
つまり、「インド人の英語」も、インドのどこの地域で育った人が話しているのかによって違うと思いますが、
ようするに、育った場所で学習した「母国語」の発音が影響しているので、
それ以外の地域、特に外国の人にとっては「聞き取れない」可能性が高いということです。
【インド人の英語を聞き取るために必要なこと】
それでは、微妙に違う「母国語のクセ」をどのようにすれば聞き取れるようになるのでしょうか。
さきほど少し述べましたが、ご自身の耳を単語のスペルや文字以下の部分まで、違いを聞き取れるようにすることです。
難しく聞こえるかもしれませんが、とても単純で簡単なことなのです。
プロンテストのメソッドでは、最初に英語の「発音ロジック®」から入ります。
[r]の音はこうして発音するのですよ、という一般的な真似をさせる方法や、ひととおりの発音の仕方のルールを学ぶだけではありません。
口の中のどこをどのように動かすと、それが音にどのように影響を与えるか、という、
楽器の音を調節するかのような方法で自分の口の中と向き合っていただくことができるのです。
いったん、英語の発音を音声学上で正しいとされる音に調節していきますが、
そのときに、同時にいろいろな音のバリエーションも聞き取れることになります。
そこで、インド人の英語であったとしても、聞いた瞬間にその音の正体がわかり、
聞き取れるようになるのにも時間がかからないのです。
皆さん、発音ロジック®を一緒に学びませんか?
参考資料:*1 「真言」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E8%A8%80