TOEFL Primary®は、小学生・中学生の英語力を世界基準のものさしで測定することを目的としたテストです。4種類の試験から成る TOEFL®アセスメントファミリーの一つで、TOEFL iBT®へのファーストステップとして世界47ヶ国以上で活用されています。
今回は、「TOEFL Primary®」とはどのような試験なのかをわかりやすく解説します。試験対策と勉強法についても紹介していますので、ぜひお役立てください。
TOEFL Primary®とは?
TOEFL Primary®とは、小・中学生の英語力を世界基準で測定するためのTOEFL®の試験のことです。
そもそも、TOEFL®のアメリカの教育団体「ETS」によって1964年に開発され、これまで世界中で3,500万人以上の受験実績を誇る英語能力測定試験です。海外大学・大学院で求められるアカデミックな英語力を測定することを目的としています。
主に 大学生・社会人向けのTOEFL iBT®、高校生・大学生向けのTOEFL ITP®、中学生・高校生向けの TOEFL Junior®、そして小・中学生向けのTOEFL Primary®を総称して「TOEFL®アセスメントファミリー」と呼びます。
TOEFL Primary®は、そんなTOEFL®アセスメントファミリーの「ファーストステップ」に位置付けされている試験で、世界で通用する英語力を身につけるための準備としての活用がおすすめです。
名称 | TOEFL Primary® |
対象 | 英語を母語としない小・中学生 |
種類(レベル) | Step1 / Step2 |
測定技能 | リーディング/ リスニング |
テスト形式 | ・ペーパーベース(三択マークシート方式) ・CBT(Computer Based Testing) |
各レベルの難易度や試験形式など、TOEFL Primary®試験の概要は、次章以降でくわしくお伝えしていきます。
英検との違いは?
小・中学生向けの英語検定試験と言えば、英検(実用英語技能検定)を思い浮かべる方が多いでしょう。ここでは、TOEFL Primary®と英検の違いについて解説します。
TOEFL Primary®が英検と大きく異なる点は、次の3点です。
- 測定技能が「リーディング」と「リスニング」のみ
- 問題文がすべて英語である
- テスト結果が合否ではなく「スコア」で判定される
英検の場合、級によって測定技能が異なりますが、TOEFL Primary®はレベルにかかわらず「リーディング」と「リスニング」の2技能のみを測定します。また、TOEFL Primary®は世界47ヶ国以上で活用されている世界基準のテストですので、問題文まですべて英語で出題されるのが特徴です。
テスト結果の判定方法も、英検と異なる点の一つです。TOEFL Primary®のテスト結果は合否ではなく、CEFRに準拠したスコアとバンドレベル(段階別評価)で表示されます。
TOEFL Primary®のレベル
TOEFL Primary®は、「Step1」と「Step2」の2つのレベルに分けられています。
TOEFL Primary® Step 1
TOEFL Primary® Step1は、英語初級学習者向けのレベルです。
CEFRのA1未満・A1・A2の算出ができます。ちなみに、日本人にとって馴染みのある英検(実用英語技能検定)では、A1を算出できるのが「3級」「準2級、A2を算出できるのが「準2級」「2級」となっています。このことから、TOEFL Primary® Step1は、英検でいうと3級〜2級くらいのレベル(※)だといえます。
(※)英検とTOEFL Primary®では形式や測定技能が異なるので、あくまでも目安となります。
対象 | 英語初級学習者 |
測定可能レベル | CEFR A1未満〜A2 |
試験内容 | ・リーディング 約30分 ・リスニング 約30分 |
TOEFL Primary® Step 2
TOEFL Primary® Step2は、英語で基本的なコミュニケーションができる学習者を対象としています。Step1よりも、やや難易度が高くなります。
Step1で測定可能なCEFRレベル(A1未満・A1・A2)に加えて、B1レベルまで算出が可能となっており、英検でいうと準2級〜2級程度(目安)のレベルとなっています。
対象 | 英語で多少のコミュニケーションができる学習者 |
測定可能レベル | CEFR A1未満〜B1 |
試験内容 | ・リーディング 約30分 ・リスニング 約30分 |
TOEFL Primary®の試験形式と測定技能
TOEFL Primar®では、「Step1」「Step2」ともにリーディングとリスニングの2技能を測定します。
通常の大学生・社会人向けの TOEFL iBT®は、英語4技能を測る試験ですが、TOEFL Primary®は初心者向けということもあり、リーディングとリスニングが主体となっています。そのため、「まだ英語を書いたり話したりすることはできない」という小学生・中学生でも受験しやすいことが特徴です。
以下では、TOEFL Primary®の試験形式と測定技能について解説します。
リーディング
リーディングセクションでは、レベルごとにそれぞれ下記の力を測定します。
Step1 (39問・約30分) | ・簡単な単語を認識できるか ・簡単な文章を理解できるか ・特定のテーマについて2〜4行の簡単な文章を理解できるか ・ポスターやメニューなどから情報を見つけ出せるか など |
Step2 (37問・約30分) | ・複雑な文章を理解できるか ・約250語からなる物語を理解できるか ・アカデミックな話題についての文章を理解できるか ・結論を推測し、導き出すことができるか など |
Step1は日常会話や留守番電話、教室内での指示・アナウンスなどから、Step2は日常で触れるポスターやメニュー、スケジュール、およびアカデミックな文章からそれぞれ出題されます。
リスニング
リスニングセクションでは、レベルに応じてそれぞれ下記の力が測定されます。
Step1 (41問・約30分) | ・簡単な単語を認識できるか ・家や学校での簡単な指示を理解できるか ・よく使われる表現や言い回しを理解できるか ・短い日常会話の詳細を確認することができるか など |
Step2 (39問・約30分) | ・馴染みのない単語を含む会話を理解できるか ・約250語からなる物語やアカデミックな文章を理解できるか ・先生の指示や会話などの情報を関連づけることができるか ・会話を聴いて結論を推測し、導き出すことができるか など |
「Step1」「Step2」ともに、日常会話や教室内での指示・アナウンスなどから出題されます。「Step2」では、上記に加えてアカデミックな内容の音声も出題されるので、聞き取りの難易度が上がります。
TOEFL Primary®を受験するメリット
ここまでで、TOEFL Primary®がどんな試験なのかを理解していただけたと思います。そこで次に、小学生・中学生がTOEFL Primary®を受験するメリットを3つ紹介します。
- 小・中学生の英語力を正確に測れる
- 英語力が世界基準でわかる
- TOEFL iBT®へつながる英語の基礎力が身につく
小・中学生の英語力を正確に測れる
TOEFL Primary®は、世界中のカリキュラムをもとに小中学生向けに設計されているため、英語の勉強を始めたばかりの小・中学生の英語力を正確に測定することができます。
TOEFLアセスメントファミリーの中で最も受験者が多いTOEFL iBT®の場合、英語力をスコアで判定するので、初心者から上級者まで同じ試験に挑まなければなりません。一方、TOEFL Primary®の場合、小・中学生のような初心者でも今あるスキルで無理なく自分の英語力を知ることができます。
初心者にとって、自分の英語力を客観的に把握する機会はそう多くありません。学習早期からのTOEFL Primary®受験は、今後の英語学習を進めていく上で非常に役立つでしょう。
英語力が世界基準でわかる
世界47ヶ国以上で活用されている世界基準のTOEFL Primary®を受験すると、英語力を世界基準で把握・証明することができます。
TOEFL Primary®のスコアは、言語の運用能力を測定する世界基準のものさしである「CEFR」と連動しています。子供のうちから英語力を世界基準で測定することで、大人になって世界に出ても困らない英語力を身につけられるようになります。
CEFRについては、こちらの記事をご確認ください。
TOEFL iBTへつながる英語の基礎力が身につく
将来的に海外留学や海外進学を視野に入れる場合、留学や入学の際の英語力の証明として TOEFL iBT®のスコアが必要になります。
しかし、 TOEFL iBT®は、英検やTOEICなどの試験と比較して難易度が高く、大学生や社会人になってから対策・受験してハイスコアを取得するのは容易なことではありません。
そこでおすすめなのが、学習初期のうちから TOEFL Primary®を受験慣れしておくことです。TOEFL Primary®は、将来的に TOEFL iBT®へつながる英語力を身につけられるように設計されています。子供のうちから、 TOEFL iBT®アセスメントファミリーの問題傾向や形式に慣れておけば、将来 TOEFL iBT®の受験が必要になった際とても有利になります。
TOEFL Primary®の試験対策・勉強法
ここからは、TOEFL Primary®の受験を控える小・中学生に向けて、試験対策・勉強法を紹介します。
発音練習で土台を作る
TOEFL Primary®は、英語初心者を対象としたテストですので、試験対策としてはまず何よりも「基礎的な英語力」を身につけることが最優先です。
基礎的な英語力を身につけるためにはまず、発音練習で土台を作ることが大切です。スポーツや音楽でも基礎ができていないと成長スピードが遅くなるのと同じで、発音の基礎ができていないと思うように英語力が伸びません。
こちらの記事を参考にして、まずは発音練習で英語の土台を作るところから始めましょう。
基礎的な英単語と文法を学ぶ
TOEFL Primary®では、総じて「簡単な単語を認識できるか」「簡単な文章を理解できるか」が測定されます。そのため、小学校・中学校の教科書に出てくるような基礎的な英単語と文法をしっかりと理解しておくことが、試験対策として非常に有効です。
学校で習う内容を中心に、基礎的な英単語・文法を読んだり聞いたりして理解できるレベルにまでインプットしましょう。なお、Step2ではアカデミックな内容が出題されますが、 TOEFL iBT®とは違って初心者向けに設計されていますので、専門的な難しい単語までマスターする必要はありません。
英語の音声を聴いて音読する
基礎的な単語力と文法力がついてきたら、並行してリーディングとリスニングの学習に取りかかりましょう。
英語の絵本を読んだり、海外の子供向け番組を視聴したりと、英語のリーディング力とリスニング力を鍛える方法はたくさんありますが、中でも特におすすめなのが「英語の音声を聴いて音読する」という勉強法です。
ネイティブの音声をしっかり聞いてから、スクリプトを実際に声に出して読むことで、発音(正しく発音する力 + 正しく聞き取る力)と英語の理解力・スピードを向上させることができます。
模擬テストを受ける
基礎的な英語力が身についたら、公式問題集や模擬テストにチャレンジしましょう。本番のテストを意識して模擬テストを受けることで、問題傾向や出題形式に慣れ、テストで求められる英語力を効率良く身につけることができます。
「TOEFL Primary®」の模擬テストを受けるには、当社が提供するアプリ『TOEFL Primary® Step1』がおすすめです。アプリの詳細は、次の項で紹介しています。
TOEFL Primary®対策におすすめの英語アプリ
TOEFL Primary®対策に役立つおすすめの英語アプリを3つ厳選して紹介します。
小中学生向け実践英語力チェックアプリ
『小中学生向け実践英語力チェックアプリ』は、当社プロンテストが提供する「TOEFL Primary®」の模擬テストを受けられるアプリです。
このアプリでは、本番さながらの模擬テストを受けた後、「今後どのように英語を勉強していけばいいか」と「お使いの小・中学校の教科書のどこのページを復習すれば良いか」というアドバイスを提示します。
自分の弱点をアプリが分析し、そこを重点的に学習できるので、TOEFL Primary®対策を効率良く進めることができます。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額990円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額660円(税込)
公式サイト
プロンテストコールジュニア
『プロンテストコールジュニア』は、スピーキング練習を通して正しい発音や文法の知識を身につけられる子供向け英語学習アプリです。
このアプリは、たっぷり30分〜40分間スピーキング練習できるレッスンを、全部で20レッスン収録しています。学校の授業や日々の英語学習で不足してしまいがちな、発音・スピーキング練習をしっかり確保し、反復練習を通して効果的に英語力を伸ばすことができます。
料金プラン
- 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
- 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
- 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)
公式サイト
Duolingo
Duolingoは、世界中で利用されている外国語学習アプリです。自分の現時点での英語力レベルから、楽しくかつ効率的に英語を学べるように設計されています。小・中学生のお子さんでも、ゲーム感覚で楽しく英単語や英文法の知識を増やすことができます。
料金
- 無料(※アプリ内課金あり)
公式サイト
まとめ
小学生・中学生向けの英語試験「TOEFL Primary®」の概要と対策・勉強法を紹介しました。
TOEFL Primary®は、小・中学生の英語力を正確に測ることができるテストです。現時点での英語力を世界基準で測定・証明できる他、将来的に TOEFL iBT®を目指して、世界的に通用する英語力や思考力を鍛えることができます。
「TOEFL Primary®を子供に受験させたいけど、どう対策を進めれば良いかわからない……」という親御さんには、当社プロンテスト提供のアプリ『TOEFL Primary® Step1』がおすすめです。このアプリでは、本番さながらの模擬テストを受けるとともに、自分の弱点をお使いの教科書で強化していただけます。お子さんのTOEFL Primary®対策に、ぜひご活用ください。
急ぎの人は発音クリニックで直接指導してもらう
プロンテストが出している学習アプリやその中の音声指導技術は、音声学をもとにしています。そのため、判定内容や指導内容にも学問的裏付けがあります。英会話スクールでは、発音記号を読めない・または読み方を知らない教員が指導している場合がほとんどです。
一方でプロンテストでは、大学の英米文学科などで指導される英語音声学に基づいて、発音記号一つ一つの読み方、調音器官(舌や歯など)の使い方を正確に指導する知見を持っています。
また、音声学はそのままだと初学者には難しいので、プロンテストは専門的な音声学の内容をわかりやすく噛み砕いて、すぐに身に着けられるような指導も行っております。
定期的に発音セミナーを開催していますので、発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。