英語の「リダクション」とは?主な脱落・弱化のルールと効果的な練習方法

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英語のリダクション

ネイティブスピーカーが自然なスピードで話す英語を聞いたとき、「スペルの通りに発音されないから聞き取りにくい」と感じたことはありませんか?実は、これは「リダクション」をはじめとした「音」の変化が起こっているからなのです。

リダクションとは、英語の音や単語が脱落したり弱化したりする現象のことです。今回は、英語のリダクション(脱落・弱化)の主な規則・ルールと、練習方法について解説します。

英語のリダクションとは?

リスニング練習

リダクション(reduction)とは、英語のスペルにあって本来発音されるべき音が「脱落」する、または「弱化」する現象のことです。

たとえば、リラックスするという意味の英単語「chiling」を例にしてみましょう。

ネイティブスピーカーが発音すると、[ˈtʃɪlɪŋ]と語尾の破裂音「g」が脱落、いわゆるリダクションが起こります。また、「fish and chips」における「and」は、2つの英単語をつないでいるだけなので、[(弱形) ən(d)]と弱く発音されます。

リダクションは、ネイティブスピーカーが自然なスピードで英語を話す際に起こる「音声変化」の一つです。他の音と比較してかなり弱く発音されることから、「消滅」とまではいかずとも、「脱落」したように聞こえます。

リダクションはなぜ起こる?

リダクションが起きる理由

では、なぜ英語は決まって文字通りに発音されず、特定の音が弱くなったり省略されたりするのでしょうか?

ネイティブスピーカーが自然なスピードで英語を話すとリダクションが起こるのは、一言でいえば「その方が発音しやすいから」です。英語をよりスムーズに発音しやすくするために、リダクションが起こります。

これを聞くと、「文字通りに発音しないなんて厄介だ!」と思うかもしれません。しかし、発音しやすいように音を省略するという現象は、実は英語に限ったことではなく、日本語でも起こっています。

たとえば、コンビニで買い物をして「ありがとうございます」と伝えるとき、ほとんどの方は「ありがと(う)ございます」と「う」の音を省略しているのではないでしょうか?一音一音はっきりと発音しているという方はきわめて少ないはずです。

リダクションというとなんだか難しい印象を受けるかもしれませんが、実は日本語でも起こっている現象です。英語ではどんなときにリダクションが起こるのか、その仕組みさえ理解しておけば、省略されている音もしっかり理解できるようになります。

英語のリダクションを学ぶメリット

リダクションの学習

では、英語のリダクションを学ぶとどんなメリットがあるのでしょうか?リダクションのルールを理解し、練習するメリットについて紹介します。

ネイティブスピーカーの英語を聞き取れるようになる

リダクションを学ぶと、ネイティブスピーカーが自然なスピードで話す英語を聞き取れるようになります。

これまで「速くて聞き取れない……」「何度聞いても、発音とスペルを結びつけられない」と思っていた音も、リダクションのルールを理解しているとすんなり聞き取れるはずです。なぜなら、「英語の音がどのように変化しているのか」がわかるからです。

たとえば、「Let me try.(私がやってみよう。)」というフレーズを例にとって考えてみましょう。ネイティブスピーカーが自然に発音すると、子音の[t]が脱落するので、[lémi trάɪ]のように聞こえます。

リダクションのルールを知らなければ、「[lémi]→レミ?」と単語の意味を理解することはできないでしょう。でも、音が脱落することを知っていれば、「[lémi]→let me」のように音と文字を紐付けることができます。

英語のリスニング力を伸ばすためには、英語の音声をたくさん聞くだけでなく、リダクション、および英語の音声変化をマスターすることが大切です。

「通じる英語」が身につく

英語のリダクションを学び、自分の中に取り込むと英語の発音が向上します。というのも、ルールや強調したいことに応じて、音を脱落させたり弱く発音したりすることで、ネイティブスピーカーにとって自然な発音で英語を話せるようになるからです。

「発音を矯正したい」「英語でスムーズにコミュニケーションを取れるようになりたい」などと思っているなら、発音記号に加えて、リダクションをはじめとした音声変化もマスターするようにしましょう。

リダクションと並んで重要な音声変化のルールである「リエゾン(リンキング)」については以下の記事で解説しています。

英語のリダクションの規則・ルール

ここからは、実際にリダクションの主な規則・ルールを紹介していきます。

以下で紹介するルールをすべて丸暗記する必要はありませんが、知っているといないとでは英語のリスニング力や発音の伸びに大きな差が出るはずです。ぜひ参考にしてください。

単語が破裂音で終わる場合

単語が「破裂音」で終わっている場合、語尾の破裂音は脱落、またはかすかに聞こえる程度に弱く発音されます。

破裂音とは、呼気を止めた状態から、量唇を急に開けて破裂させるように出す音のことです。詳しくいうと、声帯を振動させて発音する有声音の破裂音[t][p][k]と、声帯の振動を使わずに発音する無声音の破裂音[t][p][k]があります。

破裂音
有声音 [d][b][g]
無声音 [t][p][k]

これらの破裂音で単語が終わっている場合は、リダクションが起こります。

(例)

  • good[gˈʊd]
  • Bob[bάb]
  • dig[díg]
  • chlling[ˈtʃɪlɪŋ]
  • cat[kˈæt]
  • soap[sóʊp]
  • sick[sík]

語尾の破裂音は、空気を寸止めした「ッ」という音で終わっているように聞こえます。ただし、破裂音の種類や前後にある音によって聞こえ方が異なる点に注意が必要です。

破裂音に子音が続く場合

先ほど、「語尾の破裂音が脱落する」とお伝えしました。このリダクションは、破裂音で終わる単語の後にさらに子音で始まる単語が続く場合、より顕著になり、ほとんど聞こえなくなります。

(例)

  • good job[gˈʊ(d) dʒάb]
  • club member[klˈʌ(b) mémbɚ]
  • big tomatoes[bí(g) tʌˈmetoz]
  • let me[lə(t) mi;]
  • help me[hél(p) mi;]
  • talk to[tˈɔː(k) toː]

機能語の場合

英語の文章では、「and」や「in」「the」など、語彙的な意味を持たない機能語にリダクションが起こります。

そもそも英単語は、語彙的な意味を持つ「内容語」と、文法構造を示す「機能語」に大別されます。わかりやすく言うと、文章の意図の中心となる名詞や動詞、形容詞などが「内容語」、そしてその文章を繋ぐための前置詞や冠詞、接続詞などが「機能語」です。

  品詞 単語例
内容語 名詞 dog, sun, candy
動詞 play, eat, catch
形容詞 beautiful, nice, clean
副詞 always, quietly, very
機能語 前置詞 on, in, at
冠詞 a, an, the
接続詞 and, so, but
人称代名詞 she, he, they

内容語は、話し手が意図を伝える上で不可欠であるのに対して、機能語は聞こえなくてもさほど影響はありません。そのため、弱く/短く発音されます。

それぞれの機能語のリダクションについて、詳しくみていきます。

前置詞のリダクション

文中の前置詞は、話者が意図的に強調したい場合を除いて、弱く/短く聞こえます。場合によっては、ほとんど聞こえなくなることもあります。

(例)

  • I put it in my bag.
  • I’m at the station.
  • You can put it on my desk.

冠詞のリダクション

「a」や「the」といった冠詞も小さく発音されます。

(例)

  • It’s just a joke.
  • This is the movie I was talking about.

ただし、「たった1つ」とか「その〜」といったように強調したい場合、リダクションは起こらず、ゆっくり強く発音します。

接続詞のリダクション

もし聞こえなくても推測が可能な場合、「and」や「but」といった接続詞にもリダクションが起こります。

(例)

  • It’s between you and me.
  • Thank you, but I really have to go.

“Thank you, — I really have to go.”のように、接続詞の「but」がなかったとしても言っていることを理解できますし、「but」が来るだろうと推測できますね。

人称代名詞の[h]のリダクション

機能語のリダクションに関連して、やや特殊な人称代名詞[h]のリダクションも押さえておきましょう。英語の文中に登場する、人名代名詞「her」「him」などの[h]はほとんど発音されません。

(例)

  • It’s in her bag.
  • He is on his way now.
  • I like him a lot.

ただし、人称代名詞[h]の音が脱落するのは文中に登場する場合のみです。「He is 〜.」「Her name is 〜.」のように文頭にある場合はしっかり発音されるので注意しましょう。

リダクションの効果的な練習方法

リダクションを学ぶ

次に、英語のリダクションを体得するための練習方法を紹介します。「どうやって自分の中に取り込んでいけば良いの?」という方はぜひ参考にしてください。

リスニング学習(精聴)

まず、リダクションをマスターするには、ネイティブスピーカーによる良質な英語の音声をたくさん聞くことが大切です。リダクションのルールを「知識」として覚えていても、実践練習が不足していると実際にリダクションを聞き取ったり正しく発音したりすることはできません。

具体的には、英語学習アプリやサイトを活用して、英語の音声をじっくり精聴することが効果的です。脱落して聞こえない音や、聞き取りにくい弱い音などに注目しながら、英語の音声を丁寧にリスニングしましょう。

なお、可能であれば、英語学習者向けの教材ではなく、海外ドラマやトークショー、ドキュメンタリーなど、ネイティブスピーカー向けに自然なスピードで話されている音声を選ぶようにしましょう。

音読練習

英語の音声をリスニングした後は、音読練習に取り組みましょう。ただ英語の文章を声に出して読むのではなく、上で精聴したネイティブスピーカーの発音を真似するように音読することがポイントです。

リダクションを自然に取り込んで音読できるようになる頃には、ネイティブスピーカーのリダクションの音も当たり前のように聞こえるようになっているはずです。

一般的に、「自分で正しく発音できる音」というのは「正しく聞き取れる音」です。音読練習に取り組みながら、リダクションを頭と体にインプットして、自分のものにしましょう。

アプリを使った発音練習

「リダクションはもちろん、英語の発音をもっとラクに、効率良くマスターしたい」という方は、発音練習や会話練習に特化した英語学習アプリを活用しましょう。

発音の判定や矯正、指導に特化したアプリを使えば、独学でも「自分の発音のどこが間違っているのか」「どこをどう直せばネイティブスピーカーの発音に近づけるか」を明確に把握できます。

当社が提供するスピーキング練習アプリ『プロンテストシリーズ』では、会話練習や音読練習に取り組みながら、発音記号と音変化を効率良く習得することが可能です。「アプリを使って発音練習をしたい!」という方は、ぜひ『プロンテストシリーズ 発音特訓パック』または『プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』を試してみてください。

急ぎの人は発音クリニックで直接指導してもらう

プロンテストが出している学習アプリやその中の音声指導技術は、音声学をもとにしています。そのため、判定内容や指導内容にも学問的裏付けがあります。英会話スクールでは、発音記号を読めない・または読み方を知らない教員が指導している場合がほとんどです。

一方でプロンテストでは、大学の英米文学科などで指導される英語音声学に基づいて、発音記号一つ一つの読み方、調音器官(舌や歯など)の使い方を正確に指導する知見を持っています。

また、音声学はそのままだと初学者には難しいので、プロンテストは専門的な音声学の内容をわかりやすく噛み砕いて、すぐに身に着けられるような指導も行っております。

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リダクションを学ぶ際の注意点

リダクションを学ぶ女性

続いて、リダクションを学ぶ際の注意点を2つ紹介します。

リダクションには例外もあるので注意!

この記事では、リダクションの主要ルールをお伝えしました。しかし、これらのルールは、「弱く/短く発音されることが多い」「脱落することが多い」といったもので、絶対的なものではありません。

話者の意図によっては、ルールに即して音が脱落するどころか、強調して発音されることだってあります。

たとえば、リダクションのルールの一つとして、機能語は弱く発音されるとお伝えしました。しかし、その機能語が文の中心的な役割を果たすのであれば、リダクションは起こりません。

(例)

  • You failed this time, but you can always learn from a mistake.(「今回は失敗してしまった、でも失敗から学ぶことができるよ。」と強調している)
  • I can’t find the document. Are you sure you put it on the desk?(「探している書類が見つからない。本当に机の上に置いたの?」と前置詞を強調している)

このように、状況や話者の意図次第ではリダクションが起こらないケースもあるということを注意点として頭に入れておきましょう。

ルールをすべて頭で暗記しようとしない

リダクションをマスターしたいなら、ルールを丸ごと暗記しようとするよりも、たくさんの英語の音声を聞いたり真似したりして、自分の中に取り込んでいくほうが効果的です。というのも、リダクションは種類がかなり多く、上でお伝えしたように、時と場合によって脱落しないケースもあるからです。

スポーツの素振りや型の練習でも、何度も練習を重ねる中で技術を身につけることができますよね。英語のリダクションも同じです。

ルールを無理に暗記しようとする必要はありません。ネイティブスピーカーが話す自然なスピードの英語にたくさん触れ、発音練習に繰り返し取り組みながら、体で覚えていきましょう。

リダクションを学ぶのにおすすめのアプリ

先ほどもお伝えしたように、リダクションをマスターするにはたくさんの英語の音声を聞いたり真似したりして、自分の中に取り込んでいくことが効果的です。ここでは、リダクションを学ぶのにおすすめのアプリを紹介します。

プロンテストシリーズ 発音特訓パック

プロンテストシリーズ 発音特訓パック

プロンテストシリーズ 発音特訓パック』は、会話練習をしながら「通じる英語」を身につけられるスピーキング練習アプリです。発音記号と音声変化を一つひとつ丁寧に練習しながら、ネイティブスピーカーの綺麗な発音に近づくことができます。

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料金プラン

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  • 12ヶ月プラン:月額880円(税込)

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App Store

プロンテストシリーズ プロンテスト・コール

プロンテスト・コール

プロンテストシリーズ プロンテスト・コール』は、就学準備・留学生・国際ビジネスマン向けのスピーキング練習アプリです。リンキングを使った音読練習(リエゾン法®)を取り入れており、発音記号の発音から音変化まで自然と習得することができます。

また、本アプリは発音を判定し、直し方まで具体的に指摘できる「発音判定機能」を搭載しています。そのため、独学でも効率的に正しい発音をマスターし、自分の発音に自信を持って英語を話せるようになります。

料金プラン

  • 1ヶ月プラン:月額2,750円(税込)
  • 6ヶ月プラン:月額1,650円(税込)
  • 12ヶ月プラン:月額1,100円(税込)

公式サイト

まとめ

英語の音声変化の一つである「リダクション」のルールや練習方法などについて紹介しました。

リダクションは数が多く、時と場合によることもあるので、今回紹介したルールをすべて暗記する必要はありません。発音練習や音読、スピーキング練習に取り組みながら、「どんな時にどの音が脱落しているか」を自分の頭と体にインプットしていきましょう。

当社プロンテストは、「通じる英語」をラクに楽しく身につけるためのスピーキング練習アプリとサポートを提供しています「英語の発音をラクに・効率良くマスターしたい」という方は、発音判定機能を搭載した当社プロンテストシリーズのアプリをぜひご活用ください。

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